楽しいニュース.com

世の中の明るいニュース、あつめました!

2026.04.30イベント・キャンペーン

「人生という冒険を楽しめる人を増やしたい」 仮想と現実を繋ぐバンジーVRを開発するロジリシティ代表 野々村哲弥さんにインタビュー

野々村哲弥さん

 

自称 バンジージャンプの伝道師 野々村哲弥さんは、現在、全国で常設箇所やイベント会場などで、バンジーVRを提供しています。
野々村さんに開発に至るまでの背景やバンジーVRについてお聞きしました。

 

- まずは簡単に略歴や会社を興した経緯を教えてください

 

野々村さん:
私は1984年生まれで、兵庫県川西市の出身です。
私のキャリアのスタートは、新卒で入社した株式会社ジャパンエフエムネットワーク(JFN)というラジオ業界の会社でした。
FM東京の系列で全国38局のネットワークを支える組織なのですが、系列局の委員会などの運営サポートだけでなく、番組制作や、各局が繁栄するための広告営業、さらに新規事業も手掛けている会社です。

 

- 具体的にはどのような業務を担当されていたのですか?

 

野々村さん:
就職活動の時に「この会社で営業を学びたい」と思って入社しました。
最初の3年半は営業、次の1.5年は制作、その後3年間は系列のFM大阪の東京支社へ出向し、また戻って営業を3年務めました。
合計で12年弱、会社員経験を積んだことになります。
地方の放送局が24時間365日放送を続けるために、番組データを送って編成をサポートする裏方の仕事ですね。

 

「100BANCH」の外観と野々村さん

 

- 12年というしっかりとしたキャリアがありながら、なぜ独立して「バンジー」という全く異なる分野に進もうと思われたのでしょうか?

 

野々村さん:
もともと学生時代に、京都で人が熱狂するイベントやお祭りに触れて、自分も何か「体験」を仕掛ける側になりたい、という強い思いがあったんです。
しかし、組織の中にいると、自分の裁量で新しい仕掛けを任せてもらえるようになるまで、あと10年は必要だと感じていました。
その「10年」という時間がもったいないというか、もっと早く自分の手で世の中に体験を提案できる環境に身を置きたい、自分を変えたい、と思ってきっかけを探していた時期に、パナソニックの「100BANCH」(ひゃくばんち)(https://100banch.com/)というプロジェクトに出会いました。

 

「100BANCH」の壁に書かれている野々村さんのメッセージ「第二の地元」

 

- 100BANCHでは最初から「バンジーVR」を提案されたのですか?

 

野々村さん:
実は違うんです。最初に応募した企画は、「仮想通貨を使った資金調達プラットフォームづくり」でした。
100BANCHでメンターの横石崇さんに会いに行った時に、「君は何がしたいの?」と本質を問われて、正直に「体験を作りたい。バンジージャンプが好きで、、、」と話したら、「もう君はバンジーの人間として絞りなよ」とアドバイスをいただいたんです。
それが決定打となり、2018年10月に会社を辞めて100BANCHに入居し、自分の手でバンジージャンプを作るプロジェクトに全振りすることにしました。

 

- そもそも、なぜそこまで「バンジー」だったのでしょうか?
野々村さんにとってのバンジージャンプの魅力について教えてください

 

野々村さん:
大学時代にスカイダイビング、スキューバダイビング、バンジージャンプを全部やると決めて実践したのですが、一番想像を超えてきたのがバンジーでした。
スカイダイビングは上空3000メートルも行くと地面の現実感がなくなって、風を楽しむ爽快な体験になります。
しかしバンジージャンプは、崖っぷちに立った瞬間、体が「飛び込んではいけない」と全身で警報を鳴らし、その自己矛盾や葛藤を飲み込んで、自分の意志で乗り越えていきます。
あの心を激しく揺さぶる力に、すっかり心を掴まれてしまったんですね。

 

- なるほど、そこから「どこでもバンジーVR」の開発が始まるわけですが、最初から今の形が見えていたのでしょうか?

 

野々村さん:
いえ、最初は「都会のど真ん中にリアルなバンジーを作る」とか、高所作業車を使う方法など、VRではなくリアルのバンジージャンプ場をつくる色々な可能性を模索していました。
そんな中で他社さんのVRバンジーの存在を知ったのですが、いざ既存のものを体験してみたら「これは僕が思うバンジーらしさじゃない」と、すごく悔しくなったんです。
椅子に座ったまま映像だけ見るようなものでは満足できませんでした。
もっと自分の意志で体が逆さまになる感覚を安全に再現したいと、DIYで装置を作り始めました。

 

- DIYで開発するというのは、具体的にどのように進められたのですか?

 

野々村さん:
ソフトウェアを作れる仲間をゲームエンジニアのイベントで探しつつ、物理的な装置は単管パイプで鉄棒のようなものを作ったり、ホームセンターで木を買って丸く切って車輪のようにしたりと、試行錯誤の連続でした。
ゴーグルをつけて自分の意志で体が逆さまになる機構を完成させ、特許も出願し、2019年4月1日に株式会社ロジリシティを設立しました。

 

 

- 現在の「どこでもバンジーVR」の実際の運用状況について教えてください

 

野々村さん:
現在は東京タワーのメインデッキで定期的に開催しているほか、大阪のあべのハルカス(ハルカス300)では常設施設として運営しています。
他にも福岡のみずほPayPayドーム(EZO FUKUOKA)など全国各地に広がっています。
この装置は「わずか1畳のスペース」で実施できるのが最大の特徴で、屋根と電源さえあればどこへでも届けられます。
コロナ禍で修学旅行に行けなくなった西東京市立明保中学校で「外に行かない遠足」として非日常の体験を提供したこともあり、非常に喜ばれました。

 

バンジーVR 東京タワー

 

バンジーVR あべのハルカス

 

バンジーVR 出張イベント

 

- 体験されたお客様の反応はいかがでしょうか?

 

野々村さん:
非常に高い評価をいただいています。
「今まで体験したVRの中で一番面白かった」「ナメていたけど本当に落ちた感じがする」「怖いというより楽しかった」「バンジ

ージャンプをしたことがあるが、本物のそれに近しい体感があった」など、おかげさまで累計15万人のご利用を突破しました。

 

 

テレビ大阪 『大阪おっさんぽ』で取り上げられた バンジーVR:
https://club.tv-osaka.co.jp/article/entertainment/17804/

 

- 15万人というのは驚異的な数字ですね。今後の展望や野望についても伺えますでしょうか?

 

野々村さん:
現在はスタッフが手動でお客さんの体を反転させるアプローチが主ですが、これを遊園地の機械のように自動でオペレーションできる「量産版」の開発を進めており、2027年の秋冬には仕上げたいと考えています。
ただ、私の野望はVRだけに留まりません。
もともと「目の前の現実が現実だと信じられないような驚き」を創りたいという想いがあるので、VR以外のイマーシブ(没入型)エンターテインメントや体験型アートにも挑戦したいです。
演劇性や身体性を伴い、その人の常識を覆すような、現実なのに現実じゃない感覚を与えられる体験を形にしていきたいですね。

 

- まさに野々村さん自身が「創ってみたいコトを創る」という冒険を続けられているのですね

 

野々村さん:
そうですね。VRバンジーはひとつのきっかけです。
VRバンジーを通じて「人生、捨てたもんじゃないな」「まだ楽しいことがあるな」と感じて、「人生という冒険を楽しんじゃえる人」を増やしていきたいです。
私自身もこの冒険をこれからも全力で楽しんでいきます。

 

- 野々村さんの情熱とビジョンがよく分かりました。本日は貴重なお話をありがとうございました!

 

 

(取材: 森川 創)