東京都杉並区にある「吹きガラス工房・Blue Glass Arts」。
吹きガラスの日帰り体験をしています。
金山義信さん、千景さんご夫婦に教えていただきました。
義信さんは、美術大学を卒業後、5年間、独学で吹きガラスを勉強した後、さらに5年のスタッフの経験を経て、2004年に独立して自分の工房を持ちました。
吹きガラス体験は当初から受け付けていたそうです。
体験では、「一輪挿し」か、「コップ」を作ることができます。
今回は、コップを作ることにしました。
まずは、模様のデザインを考えます。
ドットのような模様は、色ガラスなのです。
色ガラスは、赤、黄、オレンジ、白、緑、青、水色の 7色。
グラスのどの位置に、どんな風に配置するのかをデザインします。
今回は、夏らしく涼しげにしたいと思い、白、青、水色の 3色を選びました。
色ガラスは、何色使っても、どれだけ使ってもOKです。
デザインが決まったら、コップ本体を作り始めます。
ガラスは熔解炉の中にあります。
熔解炉の温度は 1230℃!
マグマと同じくらいの温度だそうです。前に立つだけでも暑くて、汗をかきます(^_^;)
透明ガラスは 70%以上が砂で、高温で 12時間かけて熔かして液体状のガラスにします。
ちなみに、透明ガラスと金属などを一緒に熔かすと、化学変化が起こって色ガラスができるそうです。鉄を混ぜると水色や緑、銅を混ぜると濃い赤になります。
今回使う、水色は正式には「シアンブルー」といい、透明ガラスにシアンを混ぜて色をつけています。
また、鉛を混ぜると、クリスタルガラスになるそうです。
ガラスの世界って面白いです(((o(*゚▽゚*)o)))
それでは、熔解炉の中にある液体状の透明ガラスを、吹き竿に巻いて取り出します。
竿を回しながら、息を吹いてガラスを膨らませます。ポイントは、躊躇せずに強く吹くことです。
1回目に吹いた後は、「少し膨らんだのかな?」というくらいの変化です。
続いて、重曹が入った水の中にガラスを入れます。
すると、ガラスに泡が入ります。
ガラスの温度が高いと泡が細かくなりすぎるので、温度管理が大切です。
もう一度、熔解炉に吹き竿を入れて、2回目のガラスを巻きます。
少し温度を下げた後、最初に決めた色ガラスをつけます。
色ガラスを並べたテーブルの上をコロコロ転がしてつけました。
そのあと、グローリーホールの中に入れます。
グローリーホールは、熔解炉より低い 1000℃です。この中で色ガラスをとけ込ませたり、作業中に冷めてきたガラスを温めたりします。
色ガラスがとけ込んだら、吹きます。
1回目に吹いた時よりも、ガラスが膨らんでいく変化が分かりました。
ガラスが膨らむと、色ガラスの模様も少しずつ広がります。
ジャックを使って、吹き竿からガラスを切り離すための線(くびれ)を入れます。
再びグローリーホールに入れて温めて、吹く、温めて、吹く、を繰り返します。
吹くたびに少しずつガラスが膨らんでいくのが分かります。
膨らむことでガラスが薄くなるので、はじめほど強く吹かなくても大丈夫です。希望の大きさになるまで、温めて、吹く、を繰り返します。
続いて、木ゴテを使って、底を平らにします。
テーブルの上に置いたときに自立するように、木ゴテをガラスに直角に当てるのがポイントです。
平らになった底に、ポンテ竿(写真右)をつけます。
先ほど作ったくびれ部分を水で冷まして、吹き竿からガラスを切り離します。
ジャックを使って、飲み口を作ります。
下に押しながらポンテ竿を転がして、少しずつ広げていきます。
できました\(^o^)/
最後に、ポンテ竿からコップを切り離して、徐冷炉に入れます。
徐“冷”炉といっても、温度は500℃あります。急激に冷やすと、ガラスにヒビが入ったり割れてしまったりするので、ゆっくり冷まします。
30℃前後まで12時間くらいかかるので、完成した作品は翌日以降の受け取りです。
こちらが、後日届いた私の作品です!
寒色系の色と泡が涼しげで、夏にピッタリのコップが出来上がりました。
代表の金山義信さんにお話を伺いました。
—– 吹きガラス体験を始めたきっかけは何ですか?
ガラスについては、一般に知られていないことが多いんですよね。楽しく作りながら、ガラスの魅力を感じて欲しいと思って始めました。
—– どんなお客さんが多いですか?
20~30代の女性が中心ですが、カップルで来ることも多いです。吹きガラス体験は2歳のお子さんでもできますし、80代の方もいらしています。
—– 客層は様々ですね
はい、外国人のお客さんもいます。最近は、サイトや口コミを見て来るお客さんが増えていますね。
—– みなさんにメッセージをお願いします
ガラスは日常にあるものですが、熔けているガラスは多くの方にとって、非日常のものです。みなさんに非日常的なものを楽しんでいただきたいと思っています。初めてでもしっかりサポートするので安心してお越しください。熔けている高温のガラスは、ガラス自体が光を発していて、とても綺麗ですよ。
最後に、特別にガラス作品を作る様子を見せていただきました。
完成したのは、ガラスでできた馬!
短い時間で、細かい表現までされていて、プロの仕事は凄かったです。
どうもありがとうございました(●´ω`●)
(執筆 久保井朝美、 撮影 森川創)
関連リンク:
▼ブルーグラスアーツ
http://www.blue-glass-arts.com/
▼久保井朝美プロフィール
http://www.weathermap.co.jp/caster/kuboi-asami/