左 清家 祥子さん 右 柳生 柳先生
今回は、漫画家で講師の経験も豊富な柳生 柳(やぎゅう りゅう)先生にお会いして、マンガを描く体験をさせていただきました。
私はこれまでマンガを読むのは好きでしたが、描くのは自分には出来ないと思っていたので、描こうとも思ったことがありませんでした。
しかし母になって育児マンガを読むのにハマったこともあり、簡単なイラストをさらっと簡単に可愛く自分も描けたら素敵だなと思い、ぜひお願いしますと今回の企画に参加させていただくことになりました。
一番初めに大事なことは、上手く描こうと思わないことだと柳生先生はおっしゃいました。
上手か下手かは見る人が決めることで、自分で決めたら表現の幅が狭くなってしまうからだそうです。
上手く描こうと思うよりも、バランスよく描こうと思って描くことが上手くいくコツだそうです。
絵の綺麗さを重視する読者もいますが、マンガで一番大事なのはメッセージ性なので、メッセージが伝われば正解なのです。
確かに私がよく読んでいる育児マンガも簡単な線で描かれているものが多いように思います。
忙しいママさんが家事育児の合間に描かれているんですものね。凝った絵ではないですが、内容に共感したり、そういうアイデアもあるものかと驚いたりして、とても楽しんで読んでいます。
「極端な話、〇△□で何でも描けてしまうのがマンガの世界なんです。」と柳生先生。
「試しに、〇△□で猫を描いてみてください。」と言われ、描いたのがこちらです。
言うまでもありませんが右のちょっと怖い猫が私の描いたものです。(笑)
でも、〇△□だけで猫とはわかるでしょうか。
左の先生が描かれた方は〇と□だけなのに流石です。なんと、ウサギの方は〇だけでできています。
簡単な線でも、バランスよく描けば見る人に十分伝わるという良い例でした。
いよいよ人間を描いていきます。先ほどの動物より、さらに絵のバランスをとるのは難しくなってきます。
そこで登場したのが、柳生先生がいつも授業で使っているという人間の顔が学べるマナブくんです。
タマゴ型のボールに顔が描かれています。地球儀を思い出すと分かりやすいのですが、球体に線を描くと湾曲します。
立体的にバランスよく描けるように、マナブくんにも線が描かれています。
髪の毛の流れも分かりやすいように、赤の矢印で示されています。
マナブくんを上にむけたり下に向けたりと回して見ることで、それぞれの方向に見た時の顔のバランスの取り方がわかるようになっているのです。
これは先生が作ったものですが、タマゴ型の発泡スチロールは東急ハンズなどにも販売されており、自分でも作ることができるそうです。
このマナブくん、眼鏡をかけているのにも理由があります。
目と耳の位置が線で結ばれ、位置関係がより分かりやすくなっています。
下を向くと目が下がり耳が上がって頭のつむじが見えてきます。逆に上を向くと目が上がり耳が下がります。
このように、マナブくんを見ながら何度も練習して、自然な顔のバランスを覚えていきます。
立体のマナブくんを平面に描くのが難しく感じる場合は、片目で見ると奥行がわかりづらくなって描きやすいそうです。
私もマナブくんを見ながらなんとか描いてみました。
この一番大事な顔のバランスができてから、可愛い目にしよう、鼻を描いてみようと、焦らず少しずつ進めることが上手くいくコツだそうです。
目の描き方も続けて教えていただきました。
まず目の形を決めます。丸い目にするか切れ長の目にするかなどを決めます。
その後から上下に線を入れたり、まつげや瞳を足していくと、バランスがとりやすいそうです。
柳生先生が丸い目と切れ長の目を少し描いてくださいました。
最初は好きなマンガの目を真似しながら描いてみるとよいそうです。
今回も真似をして少し描いてみました。マンガの人物の目を今までこんなに観察したことはありませんでした。
この日お手本にした目は、なんとなく読んでいる時には気づきませんでしたが、凄く細かい部分まで描かれていました。
「この先生はこういう目の描き方をするんだ。」と思いながら読むのも、今までと違った発見があり楽しかったです。
では、いよいよ人の顔を描いてみましょう。
丸い顔だと幼い顔、面長になっていくにつれて大人びた印象になります。
まずは大体の輪郭を決めます。次に顔のバランスをとりやすくするために線をひきます。
よく十字に引いてあるのを目にしたことがあります。しかし、十字の線は少し初心者向きではないので、マナブくんにも描いてあった、縦に1本、横に2本を描きます。
横2本を目の幅にすることで、初めに目の幅を決められ、目の位置、鼻の位置が決めやすくなります。
口や眉でも印象が変わります。口を小さく描くと女の子らしくておとなしい印象になり、大きく描くと男らしい印象や、元気いっぱいな印象を与えます。眉も少し傾けたりするだけで、表情がより豊かになります。例えば、大きく笑うときは、眉を少し下げると思いっきり笑っている印象になるそうです。
最後に4コママンガにも挑戦しました。
こちらは柳生先生が授業で実際に使っている教材だそうです。
今回は絵を描く練習はまだ出来ていないので、ストーリーを考えるということに重きを置いて挑戦してみました。
ただ、なかなか思いつかず、ペンが止まってしまいました。そこで先生から3コマ目のあとに「…と思ったら」という言葉を入れるとよいとアドバイスをいただきました。
そして完成したのがこちらです。少し恥ずかしい仕上がりですが載せておきます。
マンガを描くのに大事なことは、日ごろから物事に興味を持つことだそうです。
平凡な毎日だとしても、同じ一日は全くありません。
些細な変化に気づけるようになると、マンガにしたい話がたくさん思いつくそうです。
最後に柳生先生の最近の活動についてお伺いしました。
柳生先生は、いまフリースクールで講師をしていらっしゃいます。不登校になってしまった子どもをマンガで支援しているそうです。
こちらは実際に不登校を経験した子が、自分の体験を元に描いたマンガだそうです。
子ども教育支援財団というところから出しているもので財団に寄付をすると頂けるマンガだそうです。
このマンガの監修を柳生先生がされています。
こちらは『季刊ECzine』で柳生先生が連載している、「ネコ商人ハチさんが行く!~マンガで学ぶ近江商人の心得~」という作品です。近江商人の教えを、ネコ商人ハチさんの成長とともにマンガで学べるものになっています。
Webでも見られるようなのでぜひ気軽に見てみてくださいね。
本日は、楽しいマンガの世界を教えていただき、ありがとうございました。
(執筆 清家 祥子、撮影 森川 創)
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