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2019.11.18科学・Tech, 話題・おもしろ

横浜市立戸部小学校のプログラミング授業を見学しました!

 

前回、文部科学省で取材した 小学校のプログラミング教育の実践的な授業を見せていただけるということで、横浜市立戸部小学校にお邪魔しました。
今回は 5年1組の「総合的な学習の時間」で取り組んでいる、「とべまちアプリ」の授業を見学しました。

 

花村 仁先生

 

読者のみなさんの中には、「総合的な学習の時間」について馴染みのない方も多いかと思います。

総合的な学習の時間とは、1998年 7月に出された教育課程審議会の答申に基づいて、2000年度に小学校から高校まで一斉にスタートした教育課程の新しい制度です。

文部科学省のホームページには「総合的な学習の時間は、変化の激しい社会に対応して、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てることなどをねらいとすることから、思考力・判断力・表現力等が求められる「知識基盤社会」の時代においてますます重要な役割を果たすものである」とされています。
噛み砕いて言うと、先生に教えてもらうというよりは、各教科や生活の中で今まで学んできたことを使って、自ら課題を見つけて、解決方法を考え発信する力をつける授業です。

 

私が小学生の頃も、今回の授業のように地域の魅力を調べて発表することをしました。

主に、模造紙に調べたことを書いて、グループごとに発表していました。

今回は、社会の変化に対応して、今や子ども達にも身近となっているアプリを自分たちで作り、プログラミング技術を利用することで広がる可能性などを感じ取りながら、今までもこの学習で大事にされてきた自分の住む町に誇りと愛着を持つことや、伝えたい町の魅力を人にわかりやすく伝えることなどの目的を同時に達成します。

 

グループの話し合いで使われた調べたお店の魅力のメモを貼った画用紙

 

戸部商店街で調べたいお店を各グループひとつずつ調べ、プログラミングの技術を教わりながら、お店に入ってもらえるような作品にするためにそれぞれのグループで工夫しながらアプリを作ります。

今日の授業では、何回かアドバイスをもらいながら形になってきたアプリを見直し、お店に入ってもらえる作品になったか、改善点は何かをクラス全体で話し合う時間を見学しました。
授業の本時案(この時間の授業の流れや先生のねらいなどが書かれたもの)を見せていただいたので、授業の内容が想像がしやすいかと思います。

 

本時案(クリックすると拡大します)

 

子どもの発言の中で、プログラミングについて受け身にならず、子ども達自身が情報を伝える手段として使おうとしているのが感じられました。

 

今回の授業では、情報の位置をわかりやすくしたほうが良いという意見に対して、子ども達からは、

「最初に写真を持ってきたほうが注目を集めると思います。」
「3秒から7秒くらいで人は違うものを見てしまうという話を聞きました。」
「最初に見たところが電話番号などの基本情報だと、その先を見たいと思わないと思います。」
「いくつか選択肢のあるものは、ボタンを押す順番を誘導させたらよいと思います。見ているひとが押したくなるように工夫するとよいと思います。」
など積極的にいろいろな意見が飛び交いました。

 

私が子どもの頃は、学校教育とプログラミングはかけ離れたものであり、プログラミングに触れる機会もなかったのでここまで具体的に考えることはできませんでした。

少しでも授業などで日々触れることで、大人になった時に、プログラミング的思考で考えることが当たり前になっていくのではないかと思いました。

 

 

実際にタブレットでアプリを見直しています。

 

 

授業の後に実際にアプリを見せていただきました。

 

 

このアプリ作品は、最初にいくつか選択肢があり、見たい情報を使う人が見るしくみになっています。

他にも、キャラクターが出てきてお店の魅力や基本情報を教えてくれるものなどがありました。

子ども達は自身で作ったアプリを見返しながら、最初に注目を集めるような写真をもっと使ったほうがよいのでは、といった意見を出し合っていました。
まだまだわかりづらい面も多いですが、自身で作ってみることで今回の授業のような気付きが生まれてきます。

大きくなってから、急に難しいプログラミング技術を学ぶと挫折してしまう人も多いですが、このような親しみやすいものを小学生からやることで、プログラミング技術を上手く利用しながら、生活をより良くすることについて考えられる人材が増えていきそうですね。

 

前回の記事に引き続き、2度に渡り小学校のプログラミング教育について関わりましたが、私自身、プログラミングと聞くだけで頭が重くなるような人間でした。

小学校の先生を目指した時期もありましたが、プログラミング教育が必修化されると聞いて、正直、小学校の先生にならなくてよかったとさえ思っていたのも事実です。

しかし、コンピュータとは切っても切り離せない生活をしている今の社会において、私のように後ろ向きでなく、コンピュータを動かすプログラミングとしっかり向き合っていけるようにならなくてはいけません。

一人の母として自分の娘にもしっかり向き合わせていきたい、と前回の取材から思っていました。

プログラミングの考え方は、すぐ理解できる子とそうでない子の差が激しいものかと思います。

しかし、こうして楽しんで時間をかけてじっくり学べる時期からやることで、例えば算数、数学の考え方が、人によって差があっても大体のレベルまではみんなわかるようにプログラミングの考え方にも慣れていけるのではないでしょうか。

 

(モデル・執筆 清家祥子、撮影 森川創)

関連リンク:

文部科学省担当者に聞く 「プログラミング教育」で小学校の授業はどう変わる?
https://tanonews.com/?p=20664

小学校を中心としたプログラミング教育ポータル
https://miraino-manabi.jp/

 

清家祥子プロフィール
https://satorujapan.co.jp/ncgi2/composite.cgi?model_id=1449

清家祥子インスタグラム
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