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2020.06.10話題・おもしろ

映画「HERO~2020~」の 西条みつとし監督にロングインタビュー!

すでに楽しいニュースでもご紹介した映画『HERO~2020~』は、昨年 8月に東京で上演された人気舞台『HERO~2019夏~』に更に豪華キャストを加え、舞台と映画という 2つの異なる表現方法に同じ監督と同じキャストで、再演・映画化に挑戦する意欲的プロジェクト。

 

西条 みつとし監督(左) 小槙 まこさん(右)

 

いよいよ 6月19日に映画が公開されることを記念して、西条 みつとし監督(以下、西条監督)と楽しいニュースのレポーターであり、この映画の出演者でもある小槙 まこさん(以下、小槙さん)にインタビューしてきました。

 

—– 西条監督、まずは子供時代のことから教えていただけますか。

 

西条監督:
千葉県で生まれ育ち、小学生の頃は極度の人見知りで、全然しゃべれなくて、友達もできず誰とも仲良くなれない子でした。
女の子とも一切しゃべれなかったです(笑) 目立ちたくもなく、怒られるのが怖いビビリでした。
小学校 2年生のときに「お楽しみ会」があって男の子 4,5人で出し物を披露するのですが、出し物が決まらず、ビビリだった私は先生に怒られるのが怖くて、グループのみんなに、アイデアを出しました。当時「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」を放送していた頃で、番組でコントを観たことを思い出し、初めてコントを書きました。
実際に「お楽しみ会」当日にそのコントをやってみたら、めちゃくちゃにウケて、女の子からも「西条くん、すごいね~!」って誉められて、人見知りな私もその日だけはしゃべれました(笑)
次の日からまたパタリとしゃべれなくなったのですが(苦笑)
僕の性格で、みんなとコミュニケーションをとっていくためには「笑い」を提供して面白いと思われて声をかけられるしかないんだと小学 2年の時に悟りました(笑)
それから数年後、ダウンタウンの松本人志さんの出された本に「笑いで人に認めてもらう」というようなことが書かれているのを読んで感銘を受けました。

 

 

高校生になると「お楽しみ会」もありませんから 1学期間、男女ともに誰ともしゃべれない日々がまた続いていました(笑)
そんな時、千葉のパルコに吉本の芸人さんたちが来るというのを電車の広告で知り、観に行きました。
出演者は、極楽とんぼさん、ココリコさん、ロンドンブーツ1号2号さん、ドンドコドンさん、ペナルティさんたちでした。
当時はまだ誰も売れていない頃でしたが、こんなに面白い芸人さんたちがいるんだと思って、それから毎日、放課後に吉本の劇場に通っていました。
その頃の観客は女子高生しかいなくて、その中にひとり学ラン姿で一番後ろの席に座って「お笑い芸人になれば、すべてが変わる!」と思いながら、観ていました(笑)

 

今 AMEMIYAという芸名で活躍している芸人、雨宮 陽平がクラスの同級生だったのですが、彼は男女問わず学校でみんなのヒーロー的な人気者でした。
他校からも女子が雨宮を見に来るほどの人気ぶりでした。
高校 2年のとき、「この人と仲良くなれば、面白い事が出来る場所を作ってくれるにちがいない!」と思い、ある作戦を立てました。
ちょうど自分の席の斜め後ろにいた雨宮に見えるように教科書の余白にマンガを描いていきました。
かなり描き続けたあるとき、やっと雨宮から「お前、何、描いているの?」と聞かれて、内心、「やったー! ひっかかったー!」って思いました(笑)
描いていたのはギャグマンガだったんですが、雨宮がクラスのみんなに向かって「こいつ、面白いのを描いているぞー!」って言ってくれて、みんなに自分の存在を認知してもらえるようになりました。

 

 

高校卒業と同時に 東京のNSC(吉本興行の新人タレントを育成する目的で作られた養成所)に入りました。
高校は進学校だったので、「吉本に行く」と言うと、先生には涙されるし、親にも怒られたりしたので、雨宮を踏まえて数人以外には誰にも伝えませんでした。そしたら、
雨宮は何故か、「俺も(NSCに)行くわ~」と履歴書に勝手に「西条の相方です」って書いて雨宮もNSCに送付していたんです。

雨宮が履歴書に書いたので、コンビということになってNSCに入りました。私と雨宮のコンビ名はノンストップバスでした。

NSCでは、講師の方から約 200名の生徒を前にして最初のネタ見せで、「こんなんじゃ、みんな売れないよ。ノンストップバスだけだよ、売れるのは」と言ってくださいました。
高校時代は、友達もいなくてやることがなくて、ずっとお笑いだけを勉強していて、当時ビデオデッキを 4台買って、全部のバラエティ番組を録画して、芸人さんの言葉をビデオデッキを一時停止しながら、全部書き取っていました。その努力が実り、「やったー! 自分の時代がきた!」と思いましたね(笑)
私がネタを書いて、雨宮と演じるというスタイルでした。

それからワタナベエンターテイメントに移籍し、20代前半はトントン拍子に仕事が進みました。
そして、25-26歳の頃にコンビを解散しました。

 

 

—– 人見知りだったのに、芸人さんとして大勢の人の前で話すのは恥ずかしくなかったのですか。

 

西条監督:
未だに恥ずかしいです。
でも、ダウンタウンの松本人志さんをみていて、明るい人じゃなくても、社交性がなくても、隣(相方)にそれをカバーできる人がいれば、お笑い芸人として面白さを伝える事が出来ると勘違いしちゃって芸人の世界に入りました(笑)
徐々に舞台に出ることが多くなってきて、少しずつ人前に立つことに慣れていったという感じです。
解散してからは、一人で 7年間、ピン芸人としてテレビなどに出させてもらっていましたが、ピンネタの場合、「作品」ではなく、自分自身のキャラクターを出すことがメインになってきて、ネタを書いていても楽しくなくなってしまいました。
もっと物語で、人を笑わせたいと思うようになったんです。
結果として、テレビには出るけれど売れないという感じが何年も続き、32歳で芸人を辞めました。

 

 

—– そこから脚本家・監督に転身されるのですね。

 

西条監督:
芸人を辞めてからは、夢を追いかけるのはやめて普通に生きようと(笑)、依頼された芸人さんのネタやバラエティ番組の台本を書いていました。
その依頼の中のひとつに「舞台の脚本を書かない?」というのがあり、書いた舞台を観た方から、また別の舞台の脚本の依頼がやってくる…というように、舞台のお話がどんどん広がっていきました。
ありがたいことに、テレビのバラエティの放送作家の仕事、舞台の仕事、お笑いの仕事の3つの仕事があったのですが、だんだん時間が足りなくなってきて、テレビのバラエティの台本の仕事は辞めました。
自分の描いたものが面白かった、つまらなかったという反応が直でやってくることにゼロから生み出すという意味を感じて、お笑いと舞台(物語を作る事)に絞って、劇団太陽マジック(現 TAIYO MAGIC FILM)を立ち上げました。
劇団自体はお金にはなりません(笑)が、劇団で行う作品に関しては自分の想いをすべて出せるので、やっていて楽しいですね。

 

 

—– 舞台版の「HERO~2019~」はどういう着想から生まれたのですか。

 

西条監督:
元々は 劇団の第1回の作品をベースに 6,7年かけて少しずつ発展させていったものなんです。
作品の中で、お父さんをヒーローと呼んでいるのですが、お父さんへの「想い」というところから作っていて、そこから「期間限定」の話になっていきました。
私が尊敬しているのは、ダウンタウンさんとうちの父です。
父も寡黙でコツコツと仕事に打ち込むタイプです。
仕事ばかりして生きていて楽しいのかなとか、もっと休んだり、もっと遊んだりすればいいのにと思うのですが、仕事をずっと続けているのをみて、すごいなと思って尊敬しています。

 

舞台版「HERO~2019~」では、常に一緒に舞台をやっている役者が 3人出ていますが、出演メンバーは初演から9割ぐらい入れ替わっています。
その中に、小槙さんも新メンバーとしてキャスティングされました。

 

小槙さん:
大きくメンバーが入れ替わると、全然別モノという感じになりますか?

 

西条監督:
全然別という感じですね。

 

小槙さん:
米さん(米千晴(TAIYO MAGIC FILM))は、前回の舞台もあの役だったんですか?

 

西条監督:
いえ、米さんは初演にはいなかったんです。
同じ役で登場した人は一人もいないです。9年前の初演のときから小築舞衣、中村涼子、今回主演の廣瀬智紀の 3人はいましたが、別の役で出演していました。

 

 

—– 西条監督の印象はどうでしたか。

 

小槙さん:
西条監督は、いい環境を作ってくださる監督で、役者の感情をすごく大事にしてくださって、じゃあこうしてみようかとよく話し合ってくれて、すごく勉強になります。

 

西条監督:
「どういう演出をするんですか?」とよく人に聞かれることがあります。
でも、役者さんはいろいろな演出家をみていると思うのですが、演出家は、他の演出家が仕事をしているところを見たことがないので、何が正しい演出か、何が普通の演出か、自分がどう変わっているのかがわからないんです。

 

小槙さん:
最初からミザンス(役者の立ち位置)や動きを付ける演出家さんもいますが、西条監督は、自由に演じてというタイプの演出家さんです。
役者の想いを聞いてくれたり、尊重してくれたりします。
役の中でわらかない点が出て、西条監督に相談したら、じゃあこうしてみようかと答えてくれたりします。
すごく役者に寄り添ってくれるという演出家さんです。
自由に演じることもそれはそれで大変な面もあるのですが、動きがすべて決められていると、それに囚われてしまって私は少し苦手です。

 

西条監督:
自分も出演する側を 14,15年やっていて、芸人をやりながら、映画やドラマに出させてもらうこともありました。
演出や脚本側に立つよりも長く出演する側をやって、自分も嫌だなと思うこともたくさんありました。
今、逆の立場になって、まずは出演している役者さんの「良さ」や「面白さ」を引き出して、そこにプラスしてあげれば、出ている側も嫌だとは思わないんじゃないかと考えています。

 

小槙さん:
「西条さんは役者の想いを尊重してくれるからやりやすいよね。」って、役者同士で話していました。

 

西条監督:
お笑いをやっていたからかもしれませんね。
設定の状況にあてはめるよりも、その人の良さやキャラのほうが観ている人の心を動かせるなと。
「脚本上ではこうだけど、この人の人間性はこうだから、こうしたほうがいいよ」というのがお笑いですが、お芝居でもそうなんだろうと思っています。
脚本の利用を通して、芝居や人間を見た上で、この人の良さはこういうところなんだなと気づき、それを作品に反映していくということを行っています。
セリフに絶対的なこだわりはないので、役者さんによってセリフを変えることもあります。
トータルで良い作品になることが最優先と考えています。

 

 

—– 西条監督からみて、小槙さんはどんな役者さんですか。本人を目の前にして言いにくいかもしれませんが(笑)

 

西条監督:
芝居をしているときの役者の部分と、芝居をしていない素の部分のギャップをすごく感じました。
これからもっともっと芝居が広がっていくんだろうなという印象です。
この作品では、看護師という役ですが、まじめでまっすぐな女の子感が強い役を演じていますが、もっと明るいぶっ飛んだ役もいけるんじゃないかと思っています。
舞台の公演中でも、より良くしようと演技についていろいろと聞いてきてくれて、向上心があって素敵だなと思います。

 

小槙さん:
ありがとうございます(照)

 

—– 舞台を映画化するというお話はいつごろ決まったのですか。

 

西条監督:
キャストのみなさんは、舞台「HERO~2019~」の公演中に知らされたのですが、私は舞台のお話をいただいた時点で、同時に映画化についてもいただいていました。
舞台が始まる前は、舞台と映画、同時進行で進めていました。
舞台の稽古が始まってからは、舞台に集中し、舞台が終了とともに映画に専念し撮影を開始しました。

 

 

—– 舞台版と映画版、どういう心構えで 2つを作られたのですか。

 

西条監督:
舞台上では成立させることが難しくてセリフだけになっていたところを映画ではシーンとして実際に映像化しています。
映画では、観ている方がよりストーリーに入っていきやすくなっていると思います。
舞台のほうはエンターテイメント性が高く、表面的な楽しみが多かったと思います。
一方、映画のほうが主人公やまわりの人物の気持ちや心情が伝わりやすく表現できていると思いますし、そういう意識で撮影しました。

舞台の場合は、稽古をたくさん行って、全体のバランスをみながら芝居の修正をしていきます。
映画の場合は、それがあまりできなくて、役者の力の割合が高まり、脚本の読み込み方によって、芝居のイメージが全然違うことがあります。
しかし、今回は、舞台のあとに続いて映画製作となりましたので、メインキャストと既にコミュニケーションが取れていて、短い期間で撮影を進めることができました。

 

小槙さん:
舞台版で作り上げている役のベースがあったので、映画版はそのままの感情をもっていけたので、やりやすかったですね。
ただ、舞台の場合は大きくみせるということに主眼を置きますが、映画で同じように感情を大きく出すとやり過ぎてみえてしまうので、舞台よりもどこまでみせたほうがよいのか、役者の中で結構話し合ったりしましたね。

 

映画『HERO~2020~』より

 

—– 舞台の稽古や撮影現場でのエピソードは何かありますか。

 

小槙さん:
(休憩中に)みんなでウクレレを弾いていました(笑)
伊藤裕一さんがウクレレを稽古場に持ってきて、そこから徐々に流行りだして、自分で買ってくる人がどんどん増えてきて(笑)
みんなすぐに上達してすごかったです。マチネとソワレの間や映画の待ち時間にも弾いていました。

 

—– 映画版をご覧になる方へ一言お願いします。

 

西条監督:
エンターテイメント作品ですので、先ずは何も考えず、シンプルに娯楽として観ていただけたら嬉しいです。
ただ、この作品、エンターテイメントだけでも終わりません。生きていく事での大切な何かを教えてくれます。
1回目に観るのと2回目に観るのでは、この作品は見え方が全然違います。それは何故か?観ていただけたらわかると思います(笑)
映画「HERO」は、とにかく、色々楽しめる内容盛り沢山の作品になっていますので、是非、期待して、足を運んで2度以上観て頂けたら幸いです。

 

小槙さん:
あ~、言おうと思っていたことを監督に言われてしまいました(笑)
演じている側としては、舞台版も映画版も変わっていないのですが、見え方としては全然違うと思いますし、感情の伝わり方やその時の想いが映画版ではより分かりやすく描かれていると思います。
みんながお互いを想い合っているからこそ、想いがすれ違っていても、最後に合わさったときに想い合うことの素晴らしさを感じられる作品です。
楽しい作品ですので、2度、3度、4度、5度と観ていただけたらと思います。

 

 

—– 今後やってみたいことはありますか。

 

西条監督:
すごくやりやすい環境でこの作品をやらせてもらって楽しかったので、次回作でもこのやりやすい状況で今思うことや今見せたい笑いとかを映画にできたら嬉しいですね。

あと、ちょっと宣伝になりますが、笑いの取り方の技術論を述べた本を 5月に出しました。
どうすれば笑いをとることができるかを細かく解説しています。

 

■書籍紹介

書名 『笑わせる技術』〜世界は9つの笑いでできている〜

定価 858円(税込)

ISBN 978-4-334-04459-6

URL  https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334044596

出版社 光文社

 

小槙さん:
めちゃ、読みたいです!

 

—– 最後に楽しいニュースの読者のみなさんに一言お願いします。

 

西条監督:
新型コロナで家にいて自粛している今だからこそできることもあると思います。
急に仕事や勉強などの予定がなくなって、時間ができた今、気持ちに負けず、素敵な未来を描き、自分のできることをする、そうすることで楽しく過ごせると思うので、希望を持って今を過ごしていきましょう。

 

—– ありがとうございました!

 

 

 

映画『HERO~2020~』

 

【あらすじ】

2年間限定の約束で始まった広樹と浅美の恋。
広樹には、こんな約束を言い出さなければならない“秘密”の理由があった。
そして 2年後、運命の日。怪我で入院中の広樹を見舞った浅美は、彼の別れの決意が変わらないことを知って沈み込む。
そんな時、ふたりの幸せを願う広樹の妹・真菜の行動が、入院患者から“死神”まで巻き込んで、とんでもない大騒動に!
果たして広樹の“秘密”とは?

 

 

【出演】
廣瀬智紀
北原里英
小松準弥
前島亜美
小早川俊輔
小築舞衣
中村涼子
米千晴(TAIYO MAGIC FILM)
小槙まこ
加藤玲大
後藤拓斗
双松桃子
飛鳥凛
伊藤裕一
根本正勝
今立進(エレキコミック)
松尾愉
斎藤工(友情出演)

 

 

【作品情報】
原作:TAIYO MAGIC FILM 第1回公演「HERO」
エグゼクティブプロデューサー:石田誠 中西研二
プロデューサー:村田泰介
協力プロデューサー:皆川拓也
音楽:浅梨なおこ(avenir LLC)
撮影:神田創
照明:丸山和志
録音:吉方淳二
衣装プラン:摩耶
監督・脚本 西条みつとし

企画:メディアミックス・ジャパン
製作:「HERO」〜2020〜製作委員会
配給:ベストブレーン

©「HERO」~2020~製作委員会

 

 

公式HP:https://www.mmj-pro.co.jp/hero2020/
Twitter:https://twitter.com/HERO2019summers

 

(出演 西条 みつとし監督、小槙 まこ 執筆・撮影 森川 創)
関連リンク:

映画「HERO 2020」
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斎藤 工さんと松尾 諭さんも出演! 人気舞台の映画化 「HERO~2020~」
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