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2020.07.30癒し系・女子向け, 科学・Tech, 話題・おもしろ

クリィミーマミやパトレイバーなどのキャラクターデザインの生みの親 高田明美先生にロングインタビュー!

女優 山本夏夢さん(以下、山本さん)の 先日のインタビュー で、アニメ『魔法の天使 クリィミーマミ』(以下、クリィミーマミ)が大好きという話題が登場しました。

 

魔法の天使 クリィミーマミ 「What’s a Magic !」©ぴえろ

 

ちょうどタイミングよく、渋谷スクランブルスクエアにて、そのクリィミーマミのキャラクターデザインを担当された高田明美先生(以下、高田先生)と高田先生の妹さんのお二人の作品展高田明美・高田美苗 二人展 - Angel Mythosが開催されると知り、山本さんとともに高田先生に会いに行きました。

 

【高田明美・高田美苗 二人展-Angel Mythos-】会場にて 山本夏夢さん

 

インタビューの前半では高田先生がアニメのキャラクターデザインの道に進まれた経緯を、後半ではクリィミーマミを中心にたっぷりとお話を伺いました。

 

高田明美先生(自画像)

 

—– 実は、山本さんのお母さんもクリィミーマミの大ファンということで、母娘2代にわたってファンなんですよね。

 

山本さん:
はい、私の母も小学生の頃からクリィミーマミの色合いやキャラクターが大好きで観ていたそうです。
クリィミーマミの世界観が大好きです。作品中の歌も大好きで、家族全員、歌えます(笑)
クリィミーマミに変身する前の優ちゃんも可愛いですね。

 

高田先生:

クリィミーマミのファンにお会いして話を聞くと、ご覧になった時から藤色(ラベンダーカラー)が好きになったという人が多いですね。
クリィミーマミは、優の物語で、幼なじみの俊夫(としお)に振り向いてもらうための恋心の形に魔法が加わった物語です。

展示会には、10年ぐらい前から小さいお子さん連れのお母さんもいらっしゃるようになりました。
今回の作品展は、二人展ということでいつもと少し雰囲気を変えて、妹の作品にテイストを寄せてみました。

 

山本さん:
高田先生の展示会ではいつもクリィミーマミの絵が中心に飾られていますが、今回は、美苗さんの絵に近い絵も飾られていてとても素敵ですね。

 

 

—– 高田先生がこの世界に入られたきっかけを教えていただけますか。

 

高田先生:
物心ついた子供の頃からずっと絵を描いていました。
父が歯科医だったこともあり、親は私が薬剤師になってくれればと考えていて、私自身も高校 1年ぐらいまでは薬学部に行くのかなと思っていました。
でも、ずっと絵を描くことは続けていました。
高校 2年になったときに、やっぱり漫画家になりたいと思い、両親に相談したところ、娘が決めたことをバックアップしてくれて、漫画家になるにしても大学は出たほうが良いと、美術大学に入るための後押しをしてくれました。
当時、好きだったアニメ『科学忍者隊ガッチャマン』を制作していたタツノコプロのそばにある武蔵野美術大学に入りたいと思っていました(笑)
なので、武蔵野美術大学の先生についてデッサンや色彩構成といって面を色で分割していろいろな感情や状態を表現するデザインの基礎を勉強しましたが、結局、タツノコプロから遠いよぉと思いながら、多摩美術大学に入学しました(笑)
月に1回、タツノコプロのスタジオ見学の日があるのですが、その見学に何度も通っていました。
いつもは履かないスカートを履いて、妹が焼いてくれたケーキを持っていき、タツノコプロのスタッフの人、企画文芸部の人たちやガッチャマンの総監督の鳥海永行さんとお話させていただきました。
セルに色を塗る彩色のアルバイトで『タイムボカン』の 1カットの中にキャラ数が多くて他の人がいやがるような面倒なカットでも絵が可愛ければ引き受けていました。いい思い出です。
デザイン科では、大学を卒業すると電通や博報堂といった広告代理店に就職するのがクラスの中でも優等生の進路でした。

でもその方面にあまり興味がなく、かといって漫画家のようにストーリーを考えるのも向いていないし、これと言った就活もしていませんでした。

それでタツノコプロにキャラクターデザインをやってみたいと相談し、実践スタイルのテストを受けて入社しました。

タツノコプロでは、演出部に 3か月間配属されて、顔の振り向きや振り上げや歩きや走りといった動画の研修をしました。
動画研修を一通り行ったあと、キャラクター室に移りました。

一発貫太くん』『科学忍者隊ガッチャマンⅡ』『科学忍者隊ガッチャマンF』などを担当しましたが、オリジナル作品が中心だったタツノコプロでも『ダッシュ勝平』『てんとう虫の歌』といった漫画原作をアニメ化するものが増えて、オリジナルキャラクターをデザインすることが少なくなり、キャラクター室から天野喜孝さんが独立されたりして、私も社員として4年以上在籍しそろそろ卒業かなと思っていました。

そんな頃、スタジオぴえろ布川郁司さんから原作者が女性の新しい作品があるので、私にやってみてもらいたいというお話がありました。
それが、『うる星やつら』です。
どうしてもこうなりたい、といった強い希望や覚悟もなく、なりゆきみたいな感じでフリーランスとしてキャラクターデザインを担当するようになり、今に至るといった感じです(笑)

 

 

 

—– 『うる星やつら』のあとに『クリィミーマミ』を担当されたのですね。

 

高田先生:
『うる星やつら』の制作がスタジオぴえろからディーンに変わって、スタジオぴえろでは新しい企画をやることになりました。それが『クリィミーマミ』です。
当時、『魔法のプリンセス ミンキーモモ』が新しい感覚の魔法少女物として人気がありました。ミンキーモモとはまた違う感じでということで、シリーズ構成の伊藤和典さんとキャラクターデザインの私のコンビの企画が通りました。
わりとSF色やファンタジー色の強い志向の伊藤さんに対して、チーフディレクターの亜細亜堂の小林治さんは日常を丹念に描くタイプだったので、それがしっかりしたベースになって、よりファンタジー的な要素が際立つ作品になったのではと思います。
マミのデザインは、『うる星やつら』を担当していたこともあり、多少その雰囲気をひっぱっていたかもしれません。

仕事として絵を描く以前の学生時代、漫画『ベルサイユのばら』は好きで読んでいましたが、私の作風とはかなり違う感じがしました。
萩尾望都さんの作品に触れた時、私の描きたい絵はこうだったように感じたものです。

クリィミーマミのキャラクターデザインを決めるまでには、読売広告社やバンダイに何パターンも用意して伊藤さんと一緒に何度も足を運びました。

 

山本さん:
決まるまでにどれぐらいの期間がかかったのですか?

 

高田先生:
半年以上、かかりましたね。

 

魔法の天使 クリィミーマミ 「フェザースターへの扉-2020」©ぴえろ

 

山本さん:
あこがれの先生にお会いできるのが嬉しくて、舞い上がっています♪
クリィミーマミの洋服がとても可愛くて大好きなのですが、何かをモデルにしていたりしているのですか?

 

高田先生:
小学校に通っていた頃、ピアノを習っていました。
ピアノの発表会で着るドレスのような、子供の頃着てみたかった可愛い服と、それから、当時はアイドル歌手全盛の時代で松田聖子ちゃんや小泉今日子ちゃんのようなアイドルが着ていた服のイメージを合わせてデザインしました。

 

山本さん:
いつも着ているピンクと黄色と白のも好きですが、クリィミーマミの中で一番好きな服は、肩が毛皮になっているサンタさんのような赤い服が大好きで、小さい時からよく観ていました。
母と一緒にクリィミーマミを観ていたときに、「1980年代でここまで女の子の夢が詰まったパステルカラーの世界観はなかなかなかったよ」と母から聞かされたのですが、どうしてこのようなパステルカラーにしようと思われたのですか?

 

高田先生:

もともと中間色が好きで、当時のスタジオぴえろでは、メインキャラクターを描いたときに色の指定も私のほうでしていました。
『うる星やつら』のラムの髪の毛の色を青緑にしたのも、実は私です。
原作の高橋留美子さんは、レーザーディスクのような虹色っぽいイメージで考えていたらしくて、表紙ごとに色が違っていたんです。
トラ縞は、黒と黄色で決まっていますから、それに合わせて下品にならない感じがいいなと考えて、黄色からちょっと外して、緑という感じにしました。
「緑の黒髪」という表現もあるぐらいなので、緑には黒髪っぽいイメージもあるかなと思いました。

小学生の頃、色紙を折って遊んでいたのですが、その時の紙の組み合わせが、水色とピンク色を合わせる組み合わせが「至高」だと思っていました。
白が入ったパステルカラーが好きだったのですが、小学生のときよりは大人になっていたので、もう少し「間の色」が好きになって、青にしろ赤にしろ、ピンクじゃなくて、バイオレットとか、オレンジと赤の中間色が好きとか、青と緑の中間色が好きになりました。
宝石のパパラチアサファイアのようなオレンジピンクっぽい色が好きです。
クリィミーマミでは、そういった色の好みを埋め込みました。

ただ、ステッキはおもちゃとして販売することが決まっていたので、バンダイの女児玩具部でデザインしていました。

 

 

山本さん:
優ちゃんとマミちゃんは色の印象が違うのは何か意図されていたのですか?

 

高田先生:
優は、頭は青いですけど(笑)、元気な普通の女の子なので、わりとビビッドな感じにしたかったです。
マミは、魔法の天使だからちょっと魔法っぽい雰囲気にしたかったです。
紫と黄色は実はほぼ補色ですが、そのままでは品が悪くなってしまうのでパステルトーンにしました。
バンダイから女の子も服はピンクが売れるからと要望もあって、ピンクバージョンもあります。

 

山本さん:
優ちゃんとマミちゃんを描くときに絶対に忘れないことは何ですか?

 

高田先生:
キャラクターとしてしっかり入っているので、そのイメージを壊すような絵は描かないように心がけています。
でも、13話の「鏡のむこうのマミ」が衝撃的だったらしくて、あれはマミじゃないから、あのような絵なのですが、ファンには印象が強かったみたい。
放送当時は、まだインターネットもなかったのでファンの反響もわからなかったのですが、初めて大勢のファンの皆さんを見たのは「魔法の天使 クリィミーマミ 永遠のワンスモア」という OVAのイベント上映会でした。
意外に男の人のファンが多かったです(笑)

 

山本さん:
高田先生がキャラクターデザインされた中で一番大変だった作品はどれですか?

 

高田先生:
機動警察パトレイバー』(以下、パトレイバー)が大変でした。
これまでのようなファンタジー路線ではなかったので、ちょっと苦労しました。
でも、パトレイバーをやることでデッサン力もつきました。

 

機動警察パトレイバー ©HEADGEAR

 

山本さん:
色使いとかも大変でしたか?

 

高田先生:
最初の OVAは私が担当しました。日本人なのに目が青かったりしています(笑)
オレンジ色と紺色は作品的にポリスとレスキューを合わせたストーリーとして決まっていました。
詳しいことはまだ言えませんが、実は『機動警察パトレイバー』の新作も今、準備しているところです。

 

※取材した7月16日は、パトレイバーに出演されていた声優 古川登志夫さんの誕生日ということで、高田先生の twitter でお祝いのツイートもされていました。

 

山本さん:
私の中での「絶対的な可愛い」というのは、2歳のときからクリィミーマミなんですが、そのクリィミーマミを描かれている先生の中での絶対的な可愛さや綺麗さは何ですか?

 

高田先生:
絵を描くときはいつも「綺麗になぁ~れ!」と思って描いています。ずっと追及しているテーマです。
両親が私のことを大事にしてくれたことと、絵を描いては誉められる人生だったことで、昔からずっと機嫌よくいられました。
そういう自分の背景から、世の中には戦う魔法少女ものもありますが、私の魔法少女は競っても戦わないと思っています。
「可愛さは、戦闘意欲を無力化するもの」だと思っています。
戦わずにうまく解決していこう、というのが考えの基本にあります。

 

山本さん:
これは、世の中全体に言える素晴らしいメッセージですね。

 

高田先生:
不良が子犬を抱いているのも、可愛さに戦闘意欲を無力化されているわけです。

 

 

—– 最後に今後のご予定を教えていただけますでしょうか。

 

高田先生:
9月5日(土)~11月8日(日)に倉敷市立美術館で「高田明美展 Angel Touch」を開催予定です。

 

 

「うる星やつら」、「機動警察パトレイバー」、「魔法の天使 クリィミーマミ」、「きまぐれオレンジ☆ロード」など、200点以上の作品を展示します。

この倉敷の展示会に合わせて、画集を準備しているところです。
また、今秋に都内でも新作の展示する作品展を開催予定です。
さらに、11月から12月にかけて、東京・吉祥寺でもイベント展示を予定しています。

 

©HEADGEAR

 

「機動警察パトレイバー」については、8月10日(パトレイバーの日)にファンサイト会員限定のオンラインイベントの開催を予定しています。
私は、宣伝のチームにも入っていてグッズのデザイン監修その他色々に関わっています。

 

—– お忙しい中、快くインタビューをお受けいただいて、ありがとうございました!

 

 

(出演 高田 明美先生、山本 夏夢、執筆・撮影 森川 創)

関連リンク:
高田明美オフィシャルホームページ

http://www.takada-akemi.net/
高田明美ツイッター
https://twitter.com/AngelTouchPlus
魔法の天使 クリィミーマミ
http://pierrot.jp/title/magicgirl/
機動警察パトレイバー 会員制公式ファンサイト
https://patlabor-fc.com/

山本夏夢プロフィール
http://www.cinemact.co.jp/profile/yamamoto_nayu/

山本夏夢ツイッター
https://twitter.com/yamamoto_nayu