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2021.06.22科学・Tech

健康・美容に効果あり! 新時代のアンチエイジングの鍵となる『細胞再活性化』とは?

 

人生 100 年時代を迎えたいま、健康寿命を延ばし、豊かな人生を送ることへの社会的関心はますます高まっており、老化を根本的に解決する方法が科学の力で解明されつつあります。
そんな中、ポストアンチエイジングとして注目される「細胞再活性化」が、健康だけでなく美容にも効果を発揮することが判明しました。
今回は細胞再活性化のメカニズムや効果の他、日常生活での取り入れ方などを紹介していきたいと思います。

 

 

新世代のアンチエイジングは内部から修復する!? 老化と細胞再活性化の関係とは

 

老化する根本的な理由は、年齢とともに機能が低下する細胞の劣化にあります。
細胞は 2つの方法により、新陳代謝を繰り返しています。
1つは肌のターンオーバーのように古い細胞と新しい細胞が少しずつ入れ替わる、細胞そのものの生まれかわりです。
もう 1つは、近年明らかになった細胞の中の新陳代謝で、細胞小器官やタンパク質など細胞の中にある部品を回収・分解し、またつくりなおす仕組みがあります。
しかし、細胞の機能が低下すると新陳代謝や傷の修復力も下がることになり、身体の回復力が著しく低下します。
人間はおよそ 37兆個の細胞からできているので、細胞の機能が低下すれば皮膚や内臓などの機能も自ずと低下していきます。
よって、細胞そのものの健康を保つことが全身の健康に繋がることになります。
従来のアンチエイジングはシミ、しわ、肥満化、内臓の機能低下など、身体に起こった不具合を一つ一つ個別に対処するもので、機能が低下していく細胞に働きかけるようなものはありませんでした。
症状ごとに個別に対処していく従来の方法では不具合が増えるたびに対処の手順を増やさなければいけないことになりますが、栄養を与えても機能が低下した細胞は元に戻らず細胞自体は弱ってしまう一方です。
これを解決する新世代のアンチエイジングのキーワードとなるのが、細胞再活性化です。

 

細胞再活性化の代表的な手段『オートファジー』『サーチュイン遺伝子』とは

 

細胞内の新陳代謝を上げ傷の修復力を高めることで、機能が低下した細胞を再活性化し元気な細胞に戻すことができます。
細胞再活性化の代表的な手段として、オートファジーやサーチュイン遺伝子を活性化する方法があります。
オートファジー研究の権威である大阪大学の吉森保先生と、サーチュイン遺伝子研究のスペシャリストである九州大学の片倉喜範先生の解説を交えて説明したいと思います。

 

大阪大学 吉森保先生

 

 

オートファジーは、細胞の健康を保つために細胞の中で細胞内組織を回収して分解し、リサイクルするシステムのことです。
細胞の中身を部分的に壊してはつくり直して、細胞内の新陳代謝を行います。
また、細胞から有害物を除去する働きもあり、細胞の中に現れた有害なもの(病原体など)を狙い撃ちで除去することができます。
このオートファジーの機能は加齢により低下しますが、オートファジーの活性が維持できれば細胞は再活性化し免疫力も高まり病気の予防になるので、健康寿命の延伸にもつながります。

 

九州大学 片倉喜範先生

 

 

サーチュイン遺伝子は、延命・抗老化が期待できるため別名、長寿遺伝子ともいわれ、脂肪の抑制、インスリンの分泌抑制、脂肪の抑制、脳神経、骨格筋(代謝改善)肝臓、心臓など全身に良い効果が確認されています。

カロリー制限をすると活性化することがわかっていますが、カロリー制限は⾏き過ぎてしまうと、健康に逆効果を与えることもあるので、現在は食品で長寿遺伝子を活性化させ抗老化を実現する研究が進められています。

サーチュイン遺伝子が活発に作用すると、肌の悩みが改善したり、体力・気力なども高まることが明らかになっているため、見た目を若く保ち、さまざまな疾患を抑えるカギと考えられ、大注目されています。

 

食事法を変えて運動することで、細胞再活性化を促す!

 

 

【食事】
オートファジーは細胞が飢餓状態になると普段より活性化するため、食事を控えることが、確実な活性化方法です。
カロリー制限によって、全身の細胞で NADは増加します。それによりサーチュイン遺伝子が刺激されて、正常な細胞分裂が促進されます。
ただし、自己流の食事制限は、栄養不足などの不調につながる可能性があるので、過度のカロリー制限は禁物です。
また、高脂肪食を控えることも重要です。
脂っこいものを食べ過ぎると、オートファジーにブレーキをかけるルビコンというタンパク質が増加します。
動物性・植物性に関わらず、油はオートファジーの働きを低下させるので、できる限り高脂肪食は控えましょう。

 

【運動】
軽いジョギングや筋トレなど、運動をして適度なストレスを体にかけると、老化で減少する NADの濃度が上昇します。
それにより、サーチュイン遺伝子が活発に働くようになって、細胞の再活性が促されます。
細胞再活性の効果を持続させるには、運動を継続することが大切です。
また、寒さに身をさらすことで寒さの刺激でサーチュイン遺伝子のスイッチが入り、細胞再活性につながります。

 

今すぐ食事に取り入れたい!「細胞再活性化」を促す食品素材

 

・NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)
枝豆、アボカドにわずかながら含まれています。
NMNはサーチュイン遺伝子を活性化する NADを合成する途中で現れるもので、経口投与による代謝 UP、老化による食事量の減少・体重増加が抑えられるなどの抗老化作用が確認されました。
また、NMN摂取による網膜の視細胞の機能向上(視力の向上)、骨密度増加などの効果もわかっています。

 

・スペルミジン
豆類や発酵食品(納豆、みそ、しょうゆ、チーズなど)、キノコ類(シイタケなど)に含まれています。
複数の臓器でオートファジーを活性化させる効果があります。

 

 

・アスタキサンチン
鮭、いくら、エビに含まれる赤色天然色素です。
オートファジーを活性化させる効果があります。

 

 

・カテキン
緑茶に含まれるカテキンも、オートファジーを活性化する作用があります。

 

 

・レスベラトロール

 

ブドウ、赤ワインに多く含まれます。
植物がストレス時に生み出す天然成分です。
オートファジーとサーチュイン遺伝子を活性化します。

 

 

・ウロリチン

 

ザクロやベリー、ナッツ由来の食品素材です。
壊れたミトコンドリアを除去するオートファジーの作用があります。
NADを増やすことで、サーチュイン遺伝子の活性にも働きます。

 

特にウロリチンはシワやシミ・くすみの改善、美白、保湿といった美容効果が特に高く、肌トラブルにお悩みの女性にとって強い味方になってくれる食品素材となりそうです。

 

食品の摂取や運動など、今すぐにでも取り入れられる方法が多いことがわかりましたね。
コロナウイルス対策の効果にも注目が集まっており、サーチュイン遺伝子は活性化するとバリア・ブロック機能が高まるため、コロナウイルスをブロックできるのではと期待されています。
オートファジーは働きを妨害されてしまうため妨害をさらに妨害する研究の結果が待たれている最中ですが、うまくいけば心強い味方となることと思います。
ぜひオートファジーとサーチュイン遺伝子を上手に取り入れて、キレイと健康を保ちましょう。

 

(情報提供:ウェルネス総合研究所、編集:中嶋杏樹)