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2021.11.10科学・Tech

全国の小学校に横断旗 76,900本を寄贈! 子どもたちを交通事故から守る「7才の交通安全プロジェクト」とは?

 

 

子どもたちを交通事故から守っていく取り組み「7才の交通安全プロジェクト」において、こくみん共済 coopは、2021 9月に全国 1,538校の小学校に 76,900本の横断旗を寄贈し、寄贈先の一つである東京都世田谷区立喜多見小学校で寄贈式と子どもの交通安全に関する意見交換会を行いました。

 

※編集部注:

2022年 4月には、こくみん共済 coopが全国 1,106校の小学校に 55,283本の横断旗を寄贈し、寄贈先の一つである東京都江東区立第三砂町小学校で寄贈式と子どもの交通安全に関する意見交換会が行われました。

 

東京都江東区立第三砂町小学校での横断旗寄贈の様子

右:東京都江東区立第三砂町小学校 林校長

左:こくみん共済 coop 渡邊常務執行役員

 

意見交換会の様子

 

林校長からのコメント:

本校(江東区立第三砂町小学校)の周りは大通りに囲まれていて、大通りを通らないと本校に来れません。

すぐ近くの商業施設の前でも、横断歩道で他校の児童の事故がありました。

本校では、長年 PTAの方がずっと見守りをしてくださったり、毎年地域のトラック協会の方が自転車を用いた内輪差での事故やトラックの死角等の交通安全演習をしてくださる等、地域と一緒に安全を守っています。

本校としては、登下校時に一番注意が必要と考えています。

コロナが広がりはじめて個別登校になった際、一部の子どもたちが通学路以外を通っていたため、全校で子どもたちに指導したことがありました。

(寄贈された横断旗は)集団登校の班長に持ってもらおうと考えています。

「私のまちの 7才の交通安全 ハザードマップ」も指導の中に取り入れたいと思います。

 

 

子どもの事故は 10月から多くなる?

 

小学校にあがり行動範囲が広がる 7才児は、大人よりも目線が低く、まだ充分に注意力が育まれていないために、歩行中の交通事故による死傷者数が突出して多いというデータがあります。

警察庁発表の資料によると、全年齢層で 10月より交通事故での死者・重傷者が増え、特に小学 1年生の歩行中の死者・重傷者数も 5月及び 10月が増えているのがわかります。

学年別に見ると特にこの時期には小学 1 2年生が多く、時間帯は下校時刻帯に多く発生していることもわかります。

 

 

 

 

 

令和元年の歩行中での交通事故被害は、主に 7歳の年齢の割合が高くなっています。

 

 

また、2021年 5月に実施されたアンケート調査では、「7才の子どもが交通事故に遭う確率は他の年齢に比べて一番高い」という事実に関して、一般層で 8割以上が「知らなかった」と回答しました。

日常的に子どもたちに交通安全教育を実施している保育士・幼稚園教諭、小学校教諭(教職員)においても、およそ 8割が「知らなかった」と回答しており、子どもの交通事故の頻度が年齢により異なることに関する認識がまだ不十分であることがわかりました。

その要因として、教育現場では「学校での交通安全教育に割ける時間が限られている」や「家庭での交通安全教育が不足している」などの問題意識が持たれていることから、交通安全教育に課題があることが想定されます。

 

 

 

7才の交通安全プロジェクト」とは?

 

 

先程のデータから、特に小学 1年生の子どもたちが他の年齢の児童よりも交通事故に遭いやすいということがわかりました。

そこで、こくみん共済 coopは「未来ある子どもたちを交通事故から守りたい。」という思いから、みんなで子どもたちを交通事故から守っていく「7才の交通安全プロジェクト 2019年よりスタートしました。

 

<主な取り組み内容>

 

・横断旗の寄贈

 

 

 

2019年より、マイカー共済の見積もり 1件につき 1本の横断機を寄贈する取り組みが「7才の交通安全プロジェクト」のひとつとして始まりました。

多くの人々の協力により、これまでに延べ 477,000本の横断旗が全国の児童館・小学校などへ寄贈されました。

交通事故のない、安全な社会づくりのために、引き続きこの活動も継続されていきます。

 

・交通安全教材を公式サイトで公開

 

 

子どもと親の交通安全意識を高めることを目的に、親子で楽しみながら交通安全について学ぶことができるデジタル絵本「ふしぎなふしぎなマジカルメガネ」 4冊や、クイズ形式で楽しみながら交通ルールが学べる「7才の交通安全マップ」など、交通安全教材が公式サイトで公開されています。

デジタル絵本はアニメーションになっていてわかりやすく、楽しく学べます。

 

公式サイト URL: https://www.zenrosai.coop/anshin/7pj.html

 

・金沢大学との共同研究の実施

 

2019年 11月から、金沢大学との共同研究がスタートしました。

金沢大学融合研究域融合科学系の藤生慎准教授と共同で、子どもたちの交通安全についての研究・実験が行われています。

 

・幼稚園生と一緒に子供たちのとびだしの原因を研究

 

 

幼児の飛び出し事故の原因を探るため、金沢大学とこくみん共済 coopは金沢大学附属幼稚園の子どもたちと一緒に交通安全の実験を実施しました。

実験では、子どもたちの目線には道路の標識が見えづらいこと、子どもたちがそもそも標識の意味を理解していないことがわかりました。

共同研究を通じて、子どもたちの目を引く標識をつくり、小学校に上がる前に交通安全について学ぶ機会を設けることで、子どもたちの「とびだし」による交通事故の減少につながりそうです。

 

・デジタル標識で子供たちの横断歩道の行動は変わる?

 

 

 

「一般的な標識の配置とデザインでは、危険を知らせるサインも子どもの目に留まりにくい」との研究結果から、ビーコン・デバイス(以下、ビーコン)を持った子どもが標識に近づくと、かわいい動物が「止まれ」を促す動画が再生される「デジタル標識」が独自に開発されました。

このしくみを用いて、子どもたちの横断歩道での行動が変わるか、金沢大学附属小学校にて実験が実施されました。

ビーコンを携帯した児童は、携帯しなかったときに比べて横断歩道での一時停止や左右確認の割合が 60%増加しました。

また、児童からは、デジタル標識は「わかりやすい」、「横断歩道できちんと止まって左右確認ができる」という意見が多数ありました。

 

・マップを使って楽しく交通安全を学ぼう!

 

 

 

交通安全について、子どもたちへの充分な教育の場が必要という研究結果から、専門家監修のもと、間違い探し形式で楽しく交通安全ルールを学ぶことができる「7才の交通安全マップ」が開発されました。

このマップを使用し、金沢大学附属小学校の 1年生を対象に授業が行われました。

7才の交通安全マップ」は、「7才の交通安全プロジェクト」公式サイトでも公開されています。

 

藤生慎准教授

金沢大学融合研究域融合科学系交通・防災まちづくり研究室(藤生研究室)にて、交通計画、防災計画、維持管理計画、まちづくりに関する研究を行っている。

7才の交通安全プロジェクトに共感・賛同し、子どもの交通安全についての研究・実験・改善に取り組んでいる。

 

藤生慎准教授のコメント

「私自身、小学生の子どもとお散歩やサイクリングに出かける際「この交差点ではとまるのか?」「左右をきちんと確認しているのか?」など常に意識しながら見ています。

大人が思っている以上に子どもにとって危険な箇所は多く、子供は気が付いていません。

「大人は子どもから学び、それを子どもたちに還元する」というサイクルをまわしながら、さらに子どもの交通安全に関する研究を進めていきたいと思います。」

 

 

7才の交通安全プロジェクト」今後の予定

 

2019年にスタートした「7才の交通安全プロジェクト」は、横断旗の寄贈をはじめとした、さまざまな取り組みが継続的に行われています。

プロジェクトに賛同している協力団体は、現在、2,926団体にものぼり、交通事故から子どもたちを守るための取り組みが全国各地に広がっています。

今後は、「デジタル標識」の社会実装化や、「7才の交通安全マップ」の活用強化等が進められる予定です。

事故のない街づくりを目指して、「7才の交通安全プロジェクト」はこれからもさまざまな取り組みを実施していきます。

 

(情報提供:こくみん共済 coop 編集:R.T.