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2021.12.17科学・Tech

長引く自粛生活で栄養が偏りがち? 栄養・ビタミン簡単意識 UP法とプラスオンレシピを紹介!

12月13日(月)、ハウスウェルネスフーズ株式会社によるオンラインセミナーが開かれました。

今回のセミナー内容は、「長引く自粛生活がもたらした食生活の変化による令和の栄養・ビタミン摂取状況と課題感 〜海外の最新取り組み事例から簡単意識 UP法とレシピ紹介〜」。

コロナ禍において生活が変化し、人々の食習慣にも影響が出ていることが多いようです。

二人の登壇者による講演を紹介していきます。

 

 

基調講演 「食生活の変化による栄養・ビタミン摂取について」

 

女子栄養大学副学長・栄養科学研究所長の香川靖雄先生による講演内容を紹介します。

 

香川 靖雄先生

1957年東京大学医学部卒業。

聖路加国際病院、東京大学医学部生化学助手、米国コーネル大学生化学分子生物学客員教授、自治医科大学生化学教授などを経て、現職。

専門は生化学、分子生物学、時間栄養学など。

『時間栄養学』『香川靖雄教授のやさしい栄養学』(女子栄養大学出版部)など著書多数。

 

 

戦後 50年の間に、食生活も大きく変わりました。

昔の日本人の食事はお米を中心とした高食塩・高炭水化物でしたが、戦後経済成長と共に、脂質・たんぱく質(特に動物性)が増えてきました。

運動量も少なくなったので、エネルギーの摂取量も減るなどの年次変化がありました。

この食生活の変化に伴い、昔は多かった脳血管疾患(脳卒中等)による死亡率が減り、逆に動脈硬化による心疾患・悪性新生物(がん)の割合が増加しました。

それ以外にも、平成 11年から15年間もの間にうつ病の患者数が 3倍に、高齢化に伴い認知症患者数も 3倍に増えています。

 

 

こういった生活習慣病が起こる原因として、偏った食生活・運動不足・ストレス・喫煙・飲酒が関係しています。

日本人の大部分はビタミンが十分に摂れていません。

表を見ると、葉酸は充足しているように見られますが、これは日本政府が政策的に葉酸の推奨量を WHOが決めた量の半分に減らしています。

そのため、見かけ上は推奨量を満たしているように見えますが、本当はまだまだ少ないのです。

ミネラル部分(カルシウム・マグネシウム)はどの年代においても慢性的に不足しています。

 

 

コロナ禍も食生活変化に影響を与えている一因です。

外食支出が大幅に減り、その一方で「中食(惣菜・弁当を買って帰り、家で食べること)」「内食(自宅で食材を調理して食べること)」が増加しました。

厚生労働省によると、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を 1日 2回ほぼ毎日食べていることが健康でいる条件だといわれています。

コロナ以前は 6割ほどの人達がそうしていましたが、現在ではその割合が減少しています。

主食・主菜・副菜の組み合わせのパターンが狂うと、栄養バランスも崩れてきます。

 

 

日本人の野菜・魚・果物の摂取量は大きく減少しています。

野菜・魚・果実には多くのビタミンが含まれています。

1日あたりの野菜必要量は 350gといわれていますが、表からもわかる通りその量に届いている年代は無く、特に若い人の摂取量が少ないことがわかります。

 

 

また、日本人の果物消費量については、世界の中で最下位に近いといわれています。

オランダ・オーストリア・イタリア等は 400g近く摂っていますが、日本人は 140g程度。

果物にはビタミン C、ビタミン Aなどの多くのビタミン類が含まれているので、積極的に摂ることが推奨されています。

 

 

魚類の摂取量も同様に減少しています。

日本人は縄文時代から魚をたくさん摂ってきましたが、最近では平成 20〜 21年を境に肉類の摂取量を下回っています。

健康を維持するなら本来は昔のように 100gほど摂らなければならないといわれています。

魚には EPADHA・ビタミン Dという貴重な栄養が含まれていますが、肉類にはそれがありません。

 

 

コロナ禍の影響もあって、家庭外の食事にも変化が出ています。

学校等では「簡易学校給食」というものが出されていますが、この中には摂るべき栄養が含まれている野菜・魚・果物はありません。

これではビタミンが不足してしまいます。

そもそもビタミンについては、正しい知識を持っている人は少なく、表にもある通り、「わからない」という回答が半数以上を占めています。

 

 

現在ではビタミンが不足していても、昔のように脚気・くる病になったりするようなひどい不足はありません。

しかし、推奨量を満たさない量をずっと摂り続けていると、その影響は「すぐに」ではなく「将来(高齢期)」において徐々に現れてきます。

例えば葉酸が少ないと、壊れていった遺伝子が修復できなくなり、認知症等様々な病気が起こってしまう原因にもなってきます。

将来に備えて、今のうちに十分なビタミンを摂っておくことが大切なのです。

 

 

東京都健康長寿医療センター研究所からは、「食べポン」という毎日の食事を記録するアプリが提供されています。

10種類の食物の中から今日食べたものを選ぶだけで、簡単に記録ができます。

在宅での運動習慣や良好な食習慣を保つためにも活用ができるアプリとなっています。

 

 

日本の食品表示には、カロリー・食塩などの表記はされていますが、ビタミンのことが書かれていません。

しかし、ひと目で食品の栄養素の評価がわかるような、便利な指数「NRF(高栄養素食品指数)」というものが、諸外国では用いられるようになっています。

NRFというのは、積極的に摂取した方が良いとされる 9つの栄養素(タンパク質・食物繊維・ビタミン A・ビタミン C・ビタミン D・カルシウム・カリウム・マグネシウム・鉄)と、摂取量を制限した方が良い 3つの栄養素(飽和脂肪酸・塩・砂糖)を合計して各食品 100kcalあたりで算出した指標です。

そうすると、食塩・砂糖類が少なくビタミン・ミネラルが多いものが必然的に NRFが高くなり、表では海藻・野菜・きのこ類に高い得点が付けられています。

ただ、海藻・きのこ類は一日に 10g程度しか摂れないので、野菜類を主に摂ることが健康を守ることに繋がります。

 

 

同じ食品群でも、NRF指数の数値には大きな差があります。

例えばそばと即席中華麺は同じ麺類のように見えますが、即席中華麺の方には食塩・飽和脂肪酸が多く含まれており、結果マイナスの点数が付いています。

マイナスの点数の食品は塩・砂糖が非常に多いものとなっています。

マイナスの点数のものはなるべく買わず、点数が大きいものを主に摂っていきましょう。

 

 

レシピ講座「栄養・ビタミン意識 UPのヒントを紹介! 簡単プラスオンレシピ」

 

管理栄養士・食生活コンサルタントの浅野まみこ先生による講演内容を紹介します。

 

浅野 まみこ先生

総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて糖尿病の行動変容理論をベースに 1万 8千人以上の栄養相談を実施。

その経験を生かし、現在は、食育活動やレシピ開発、食のコンサルティングをはじめ講演、イベントなど多方面で活躍中。

 

 

毎日使う食材や栄養素から、栄養バランスやビタミンのことを考えるのは難しいですよね。

そこで、「カラフル栄養バランス法」という方法を紹介します。

食材を色分けし、色で栄養バランスを考えていく方法となっています。

具体的には、まず、1日の中で「買い物時」「料理を作る時」「食事の時」は『カラフル』を意識することです。

そうすると、自然とビタミンバランスが整いやすくなります。

また、色には気持ちもアップさせてくれる効果もあります。

 

 

具体的には上のような色分けとなっています。

 

 

赤は主に肉類、レバー類です。

たんぱく質が多く含まれていて、その他ビタミン B郡、レバー類にはビタミン A(レチノール)も入っています。

青は魚介類。こちらもたんぱく質が多く摂取できますが、ポイントとしてはビタミンDの摂取量も増えてくる点です。

黄色は、大豆と卵。ビタミン B郡やビタミン E、パントテン酸が摂取できます。

緑と黄緑はそれぞれ土の上に生えている野菜、果物です。

ビタミン EA Cといった抗酸化ビタミンやパントテン酸等が摂取できます。

 

 

白は、主食のもの(米・麺類・パン)となります。

炭水化物を中心に、ナイアシン・ビタミン 12が摂取できます。

黒はごま・海藻類・こんにゃく類。

基本的にミネラルが多く含まれていますが、ビオチン・ビタミン Kも入っています。

茶は土から下のもの(きのこ類・根菜・芋類・玄米・雑穀類・ナッツ類)。

食物繊維・ビタミン・ミネラルの他に、きのこ類はお魚の次にビタミン Dも多く含みます。

 

 

ここで、「カラフル診断」をしてみましょう。

摂取する色が偏ってしまうとどうなってしまうのでしょうか。

まずは、赤色多めさん(お肉好き)です。

たんぱく質を主に食べているので、ビタミン B郡を多く摂取できています。

しかし、抗酸化ビタミン(ACE)はあまり摂れていないことがわかります。

 

 

次に、一見カラフルさん(野菜・果物好き)。

野菜・果物は見た目もカラフルで一見しっかり栄養が摂れているように見えますが、チャートを見てみると、先程と違い、ビタミン B郡の摂取が減っています。

ビタミン B郡や Dも、脂質代謝や免疫調整に必要なので、しっかり摂っておきたいところです。

 

 

最後に、白色多めさん(炭水化物大好き)。

こちらはビタミン B郡も抗酸化ビタミンもビタミン Dも完全に不足していて、完全に栄養が偏ってしまっています。

カラフルにすることを意識していくと、必要な栄養素が充足しやすいということがわかります。

 

 

最後に、「簡単プラスオンレシピ」を紹介します。

普段の食事に「赤」などの色を足すならどうすればいいか、といったものを提案したレシピとなっています。

 

肉巻き半熟玉子

 

 

たんぱく質やビタミン B郡をしっかり摂取できる、肉類を意識したレシピです。

卵(黄)なども一緒に摂取してクレソンも添えると、赤・黄・緑と信号機カラーでちょうどバランスが取れますね。

 

【材料(2人分)】

豚肉薄切り… 8枚(120g)

玉子… 4個

小麦粉…小さじ 2

ごま油…大さじ 1

クレソンお好みで

 

A:

醤油…大さじ 1

砂糖…大さじ 1

みりん…小さじ 1

小さじ 1

 

【作り方】

① 湯を沸かし、卵を入れ 7分茹でる。

       冷水にとり、殻を剥く。

② 豚肉を 2枚重ね、小麦粉を薄くはたき、①の卵を巻く。

③ フライパンにごま油をひき、②を転がすように焼く。

  全体に火が通ったところで、Aを加え、からめながら炒める。

④ ③を器に盛り付け、クレソンを添える。

 

春菊の無限サラダ

 

 

抗酸化ビタミン・ミネラルをしっかり摂れる、野菜(緑)たっぷりのレシピです。

野菜(緑)、しらす干し(青)、海苔・ごま(黒)の 3色を揃えられます。

 

【材料(2人分)】

春菊… 1パック

赤玉ねぎ… 1/6個

かいわれ… 1/3パッ ク(30g)

海苔 10cm角… 1枚

しらす…大さじ 2

白ごま大さじ 1

 

ドレッシング:

ごま油… 大さじ 2

鶏ガラスープの素… 小さじ 1/2

水…大さじ 2

にんにくすりおろし小さじ 1

 

【作り方】

① 春菊は 2cm幅に切る。

     赤玉ねぎは、スライスして水にさらす。

     かいわれの根元を切り、半分にする。

② 鶏ガラスープを水で溶き、ごま油、にんにくすりおろしを合わせる。

③ ボウルに、①、しらす干し、白ごまを加え、②を回しかけよく和える。

       最後に海苔を和え、器に盛る。

 

台湾風豆乳プリン

 

 

大豆と卵(黄)を意識したデザートレシピです。

トッピング(もち麦・イチゴ、マンゴー・さつまいもなど)を足すことで、さらに多くの栄養素を摂取できます。

 

【材料(2人分)】

豆乳… 200ml

卵… 1個

水…大さじ 2

砂糖大さじ 1

 

シロップ:

水… 大さじ 1

砂糖小さじ 1

 

トッピング(お好みで):

茹でたもち麦… 大さじ 1

粒あん… 小さじ 1

冷凍マンゴー

サツマイモ… 少々

イチゴ… 2

 

【作り方】

① ボウルに卵をとき、砂糖を加えよく混ぜる。

  豆乳を加える。こし器でこす。

② 耐熱容器に、①を入れ、7分蒸す。

  シロップを合わせ、レンジ(600w)で 1分加熱しておく。

③ 器に、②を入れ、お好みの具材をトッピングし、シロップをたっぷりとかける。

 

 

(情報提供:ハウスウェルネスフーズ株式会社 編集:R.T.