長引くコロナ禍の影響で、運動不足やリモートワークなどで生活リズムが不規則になり、眠れない、寝てもすぐ目が覚める…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
睡眠の話をする前に、日本はずっと短眠国家だということはご存じでしょうか。
日本の 15~65歳の平均睡眠時間は 7.4時間。フランス人の平均は 8時間眠るのが常識とのこと。
仕事や育児に忙しく過ごす毎日で睡眠時間を増やせない場合、睡眠の質も非常に大事です。短くても良眠できる方法や食事の内容、摂り方などをこれまで 6,000人以上の食育指導を行ってきた管理栄養士 玉木 美帆がご紹介します。
■睡眠のメカニズムとは
睡眠には、体内時計や日中動くことでの睡眠物質の蓄積、さらにホルモンや体温などが関わってきます。
こうした体の働きの上に、季節や寝室寝具の環境が影響を与え、あなたの睡眠の質が変わってきます。
まずは体の機能を知ることから始めましょう。
- 眠りのスイッチは朝にあり!体内時計をリセットする
体を眠らせる第一の要素は、体内時計と言われる働きです。
生物には 1日のリズムがありますが、24時間とピッタリ一致しているわけではありません。
その理由はまだ謎につつまれていますが、時間のズレは体のリセット作用で解消していると言われています。
人のリセット作業は、朝日を浴びて目が光を感知することで始まります。
この時に 1日の睡眠に入る時間も決まるので、眠りはなんと朝が起点なのです。
カーテンを閉めて暗いまま過ごしていると、リセット作用が働かないため、朝一番にカーテンを開けて朝日を浴び、深呼吸してから一日を始めるのがおすすめです。
- 日中しっかり動いて体を眠れる状態にする
人には、体が常に一定のバランスを保つように働く恒常性維持機構があります。
シーソーのイメージで、睡眠と覚醒も、睡眠が長引けばもとに戻ろうと覚醒に傾き、覚醒が長引けば、今度は睡眠に傾くというようにバランスをとっています。
覚醒時間にしっかり体を動かしておくことで疲労物質がたまり、夜に眠れるようになります。
- 眠りに関わる3種類のホルモンを正常に働かせる
・眠らせ役の「メラトニン」
睡眠を誘発するホルモンです。メラトニンは起床後 14~16時間ぐらいに分泌してきますが、光に弱いのが特徴です。
照明が明るい部屋にいると分泌が低下してしまいます。
特に、スマホや PC、液晶テレビなどから発せられるブルーライトは、太陽光に近いので就寝前まで浴びていると、メラトニン分泌を阻害するので、睡眠 1時間前までスマホや PC、テレビは見ず、ゆったりと過ごすようにしましょう。
・起こし役の「コルチゾール」
メラトニンと交代で分泌するコルチゾールは、起こすホルモンです。
コルチゾールは、ストレスに対抗するホルモンで、自律神経を調整する効果がありますが、ストレスが強すぎると、コルチゾールは過剰分泌し、睡眠を妨害してしまうこともあります。
そのため、できるだけリラックスする時間を摂るようにしましょう。
おすすめは、好きな香りを楽しんだり、ハーブティーなどでホッと落ち着く時間を作ることです。
・なだめ役「セロトニン」
セロトニンは興奮した精神を安定させ、良好な覚醒状態を保つ働きを持っています。
セロトニンはメラトニンの原料で、セロトニンは体内で自然に生成されず、たんぱく質に含まれる『トリプトファン』という必須アミノ酸を食べ物で摂らなくてはなりません。
セロトニンは、朝日を浴び、体を動かすことで活発に分泌するため、ここでもやはり、朝が肝心です。
■良眠の秘訣の食事法
- ①朝ごはんを食べる
朝食は体内時計の調整に働きかけ、自律神経やホルモンバランスに影響しています。
メラトニンは、朝食の 14~16時間後に増えるため、このタイミングで就寝すると熟睡しやすいでしょう。
また、朝食を摂って午前中から体温を上昇させると、一日の体温のピークは夕方くらいになり、夜に向けて体温が下がることで入眠しやすくなります。
- ②セロトニンを増やす食べ物を摂る
セロトニンのもとになるトリプトファンが多く含まれている食材は、主に、豆腐・納豆・味噌・しょうゆなどの大豆製品、チーズ・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品、米などの穀類などです。
つまり、主食・主菜・副菜を揃えて食事をすることで、必要とされるトリプトファンは摂取できます。
おすすめは、ごはん中心の食事にすると、味噌汁や納豆などいろいろな食材を一度にバランスよく摂れます。
- ③夜遅い食事は、「ごはんと味噌汁」
夕食は消化のよいものを選びましょう。お米は消化に負担をかけないので、夜遅い食事に最適です。
②のトリプトファンの多い豆腐入り味噌汁を食べると一石二鳥です。
おわりに・・・
これらの生活習慣に気を付けたら最後は寝室寝具を整えましょう。
睡眠に最適な室温は 16~26℃、湿度は 50~60%ぐらいなので、寝る前にエアコンや加湿器などをそろえて室温の環境を整えましょう。
寝具の敷物と枕は、体の沈み込みが深くならないようにバランスが大事。寝返りを考えてやや硬めのものを選びましょう。
睡眠は、生活リズムに影響を受けやすいのですが、わたし自身ごはん中心の食事に変えると、短い時間でもぐっすり眠れました。
また、幸せな夢をみるために、一日頑張った自分をほめてあげるのも安眠の方法です。ぜひ、実践してみてください。
玉木 美帆 (たまき みほ)
わたしブランド 代表 ゆめのたね放送局ラジオパーソナリティ
管理栄養士/健康咀嚼指導士/健康食育シニアマスター(JHE認定)
21歳で難病全身性エリテマトーデスと診断。栄養学とごはん中心に基づいた食事で症状が緩和したことから、管理栄養士となる。
日本健康食育協会、京都・大阪の幼稚園や子育て支援室、 自身が主催する食育セミナー・個別カウンセリングを通じてこれまで 6,000人以上の体質改善・ダイエットサポートを行い、現在は大人を対象に、お米をしっかり食べて体を整える食事法を伝えている。
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(情報提供: 玉木 美帆広報事務局)
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