昨日、11月 14日(木)に UCC グループショールームで、UCC 上島珈琲によるメディア向けセミナー「池谷敏郎先生と考え る!UCC の最新研究で見出したコーヒーの第3の健康成分『トリゴネリン』の効果とコーヒーの新しい楽しみ方」が開催されました。
UCC グループショールームは、昨年 2023年に開設されて、中央に大きな楕円形の「クリエイションカウンター」が設けられてて、各種競技大会のタイトルやコーヒーに関するさまざま資格を保有するコーヒーのスペシャリストが、UCCグループのコーヒー製品や、世界の多種多様なコーヒーマシンや家庭用・業務用製品などを展示し、これらに実際に触れ、試飲するなど、五感で体験できるような施設になっています。
室内ですが、コーヒー豆が植えられていました
UCCは、1969年に設置した品質管理部門を起点に、50年以上の長きにわたり、コーヒーが持つさまざ まな可能性を追求してきました。
昨年 2023年には UCC サステナビリティ指針で掲げる目標の一つに “コー ヒー×健康” 分野での目標を加え、世界中の人々の健康に貢献するため、研究開発・製品開発をさらに進めています。
これまで、ポリフェノールの一種であるコーヒー由来クロロゲン酸類が食後の血糖値の 上昇を抑える作用や、食後の血中中性脂肪が高めの方の食後の血中中性脂肪の上昇を緩やかにする作用など、さまざまな可能性を探究してきました。
今回、最新の独自研究において、コーヒー豆に多く含 まれる「トリゴネリン」という成分が、BMIが高めの方の安静時のエネルギー消費の向上をサポートすることが見出されました。
セミナーでは、大のコーヒー好きで、コーヒーの健康機能に詳しい医学博士で池谷医院 院長の池谷敏郎先生が登壇され、中高年世代が抱える健康課題から、知っているようで正確には理解できていない“代謝”と“脂肪細胞”の話を中心に、コーヒーがもたらす健康効果への期待について講演されました。
UCCの講演では、中高年世代の健康課題解消につながる「コーヒー由来トリゴネリン」の研究成果と今後の展望について説明がありました。
「コーヒー由来トリゴネリン」は焙煎するほど少なくなるため、味の設計が難しくなる成分です。
UCCでは、これまで培った焙煎技術とブレンド技術を生かし、トリゴネリン量の担保とおいしさのバランスを実現しました。
■「知っているようで知らない『代謝』の話」 池谷医院 院長 池谷 敏郎先生
池谷敏郎先生
プロフィール
池谷医院 院長
1962年、東京都生まれ。1988年、東京医科大学医学部卒業後、同大学 病院第二内科に入局し、血管、血圧の研究を行う。
1997年、池谷医院 理事長兼医院長に就任。専門は内科、循環器科。
現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管、心臓などの循環器系の専門家としてテレビ、ラジオ、講演会など活動の幅を広げている。
ミドル・シニア世代の健康課題として、男女ともに約8割が、体重を落としたり、スタイルを維持しづらくなったと感じています。
スタイル(体重や体型)改善のために、男女ともに、なるべく歩いたりやバランスのとれた食事をとるなど、負荷の小さな取り組みによる改善を目指しています。
しかし、実際には、男女ともにスタイル(体重や体型)改善の成果は出ていないという人が過半数に達しています。
なぜミドル・シニア世代になると、体重・体型が思い通りにならないのかというと、その理由は「代謝」にあります。
そもそも代謝とは、食べたものを分解して吸収し、生きていくのに必要なエネルギーにしたり、 私たちの体をつくる材料としたり、今後のための備蓄としてたくわえたりすることです。※池谷敏郎著『代謝がすべて』(角川新書)より
代謝には、大きく3つの代謝があります。基礎代謝、食事代謝、身体活動代謝です。
1日のエネルギー消費に占める3つの代謝の割合は、基礎代謝、食事代謝が安静時(約70%)、身体活動代謝が活動時(約30%)となっています。
安静時代謝の多くを占める基礎代謝は加齢に伴い減少します。
また、基礎代謝量は、季節によって変化し、11~12月の基礎代謝は、年間平均よりも低い状態(100%未満)で推移します。
つまり、11~12月は、太りやすい時期ということになります。
実際に忘年会やパーティーの多い 12月は、男女ともに体重が増えたことを実感するという調査結果になっています。
代謝のカギを握る「脂肪細胞」には2種類があります。
ひとつは、「白色脂肪細胞」で、全身の皮下や内臓に分布し、体に中性脂肪を溜め込み(脂肪蓄積型)、さまざまな病気に関係する慢性炎症につながります。
もうひとつは、「褐色脂肪細胞」で、鎖骨上窩部などに分布し、取り込んだ脂肪を燃焼させます。(脂肪燃焼型)
個人差は大きいですが、加齢に伴い減少します。
食べても太りにくい人・太りやすい人の違いは「褐色脂肪細胞」が多いと食べても太りにく、少ないと食べると太りやすいです。
褐色脂肪細胞が少ない人に朗報があります。
褐色脂肪細胞のようなはたらきを持つ もうひとつの脂肪細胞が存在します。
それが、“やせ細胞”と呼ばれるベージュ脂肪細胞です。
「白色脂肪細胞」に運動や食品による刺激を与えると、ベージュ脂肪細胞になります。
安静時のエネルギー消費を高める方法を3つご紹介します。
1つ目。朝型の生活(朝日を浴びる/朝食を食べる)にすることで、体内時計がリセットされ、全身の臓器が正しいリズムでスムースにはたらくようになり、基礎代謝が高まります。
2つ目。メリハリのある生活(適度な緊張とリラックス)を送ることで、交感神経と副交感神経が交互にはたらき、交感神経と副交感神経が交互にはたらきます。
3つ目。コーヒーを飲むと、安静時のエネルギー消費量が高まります。
その具体的な理由については、次のセッションで、詳しい説明があります。
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※調査:UCC調べ(2024年10月) 対象:全国40代~60代男女
■「コーヒーの第 3 の健康成分『トリゴネリン』」の研究成果」
植田恵美さん(UCC R&D 本部 研究開発部/プロジェクトリーダー)
有木真吾さん(UCC R&D 本部 研究開発部)
研究によって、コーヒー由来の「トリゴネリン」にはBMIが高めの方の安静時のエネルギー消費の向上をサポートするはたらきがあることがわかりました。
コーヒー由来トリゴネリンには BMIが高めの方の安静時のエネルギー消費の向上をサポートするはたらきがあります。
トリゴネリンとは、香辛料のフェヌグリークや一部のマメ科植物にも含まれますが、コーヒーに特に多く含まれます。
ただ、コーヒー由来トリゴネリンに関する研究報告はまだ多くありませんが、トリゴネリンが、脂肪細胞へ脂肪の蓄積を抑制したり、白色脂肪細胞をベージュ脂肪細胞になるという研究結果が報告されています。
コーヒー由来の健康成分には、カフェインやクロロゲン酸類がありますが、今回、第3の健康成分として、このトリゴネリンに着目しました。
一方でコーヒーとして美味しく摂取するには、コーヒー由来トリゴネリンは焙煎で減少するという課題もあります。
先ほどの調査結果のように、体重減やスタイルを維持しづらくなったのは「基礎代謝の低下」にあると認識され、男女ともに約9割が、「基礎代謝」を上げたいと思っています。
プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験によって、トリゴネリン摂取した人と、トリゴネリン摂取しない人で8週間におよぶ調査をしました。
(※トリゴネリン摂取した人は、コーヒー由来トリゴネリンを150㎎含有する粉末を水またはぬるま湯に溶かして1日1回摂取)
結果、トリゴネリン摂取8週後の安静時エネルギー消費量が高くなり、また、トリゴネリン摂取8週後の褐色脂肪密度が高くなる傾向となりました。
コーヒー由来トリゴネリンによる安静時のエネルギー消費の向上は、 白色脂肪細胞のベージュ化によって起きたものと推定されます。
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セミナー参加者に対しては、トリゴネリンが多く含まれる浅炒りのコーヒーと、トリゴネリン量とおいしさのバランスを追求したコーヒーを飲み比べも実施されました。
試飲してみたところ、右側(赤いシールのA)は、香りも少なくあっさりとした味で、左側(青いシールのB)は香り高く、濃く渋味もほどよく感じるコーヒーでした。
正解発表では、上記のように青いシールのBのほうが口当たりの良い味わいのコーヒーということでした。
いずれもトリゴネリンが多く含まれているということでしたが、飲んだだけでは、普通のコーヒーと味の違いは感じられませんでした。
■開催日: 11 月 14 日(木)
■会場: UCC グループショールーム(東京都港区赤坂 8 丁目 5 番 26 号 住友不動産青山ビル西館)
■ 登壇者 :
①池谷敏郎先生(池谷医院 院長)
②植田恵美さん(UCC R&D 本部 研究開発部/プロジェクトリーダー) 有木真吾さん(UCC R&D 本部 研究開発部)
■主催: UCC 上島珈琲株式会社
(情報提供: UCC メディアセミナーPR 事務局、取材:森川 創)