日本バナナ輸入組合は、朝食の主要な食材10品目において、睡眠の質が向上する5つの栄養素(トリプトファン、ビタミンB6、炭水化物、マグネシウム、ビタミンC)の1食分当たりの含有量の総合値を算出し、『睡眠の質が向上する朝食の食材ランキング』を作成し、その結果、「バナナ」が同ランキングの1位となったことを発表しました。
世界的に見ても“寝不足”の日本では“睡眠負債”が課題に。生活習慣病や睡眠障害を引き起こす「朝食の欠食」も増加傾向に。
OECD(経済協力開発機構)が実施した調査「世界における時間の使い方」(2021年)によると、日本の1日当たりの平均睡眠時間は、世界33カ国の中で最下位という結果となり、“睡眠不足”は日本国民が抱える深刻な健康課題であると言えます。
また、「朝食の欠食」が、生活習慣病1)のリスクや睡眠障害2)に関連があることが問題視されているなど、日本は睡眠に関する課題を多く抱えていることが伺えます。
実際、調査でも「睡眠パフォーマンスを上げたい」と感じている人が86%に上ることがわかっています。
睡眠の質を上げるカギは“朝食”にあり。「眠り」の質向上の決め手となる「トリプトファン」の摂取が快眠への一歩に。
「眠り」の質の向上には「メラトニン」という別名「睡眠ホルモン」の分泌が大きく関わっています。
このメラトニンの分泌を促すのが、幸せホルモンとして知られる「セロトニン」であり、さらにはセロトニンを生み出すのが「トリプトファン」という必須アミノ酸です。
「トリプトファン」は体内で合成することができず、食べ物から摂取する必要がありますが、「トリプトファン」を摂取してから生成されたセロトニンが体内に分泌するまで約14~16時間ほどかかると言われています。
つまり、質の良い睡眠をするカギは「朝食」にあると言えます。
睡眠の質が向上する5つの栄養素【トリプトファン、ビタミンB6、炭水化物、マグネシウム、ビタミンC】から算出。その結果、『睡眠の質が向上する朝食の食材ランキング』1位は「バナナ」に。
※1食当たりの目安量で算出
「トリプトファン」は、ただ摂取すればいいというわけではなく、「ビタミンB6」「炭水化物」とともにバランスよく摂取する必要があります。
そこでこの度、睡眠の質向上のカギとなる「トリプトファン」「ビタミンB6」「炭水化物」、さらに神経の興奮を抑える効果のある「マグネシウム」、抗ストレス対策の「ビタミンC」を加えた5つの栄養素に着目し、朝食でよく食べる食材10品目における『睡眠の質が向上する朝食の食材ランキング』を作成しました。
その結果、主要食材10品目において、対象とした5栄養素のうち「トリプトファン」以外が全て3位以内の「バナナ」がトータル41ポイントで、トップとなりました。
手軽にエネルギー補給ができ腹持ちがよいバナナは、上記5栄養素以外にもカリウムや食物繊維が多く含まれており、「睡眠の質」を向上させる朝食に最適な食材といえます。
<調査設計について>
ランキングの算出にあたっては、組合が実施したアンケート調査で、週に1回以上朝食を摂る方を対象に、「朝食で週に1度以上食べることが多い食材を教えてください(複数回答)」と尋ね、その回答の上位の主要食材10品目を対象に、1食分あたりの栄養素含有量を算出。
管理栄養士 渥美まゆ美さん監修のもと、特に睡眠の質が向上する5つの栄養素【トリプトファン、ビタミンB6、炭水化物、マグネシウム、ビタミンC】について、含有量が多い順に1位10ポイント、2位9ポイント、3位8ポイント、4位7ポイント、5位6ポイント、6位5ポイント、7位4ポイント、8位3ポイント、9位2ポイント、10位1ポイントとして、トータルポイントを算出。
総合獲得ポイントでランキング化したものとなります。
<調査対象となった5つの栄養素について>
※各栄養素の含有量は「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」を使用して算出。
睡眠パフォーマンスを上げたいと感じている人は86%。睡眠に対する意識の高まりが伺える結果に。
「睡眠パフォーマンスをあげたいと思いますか?」という質問に対し、「そう思う」(37.4%)、「ややそう思う」(49%)と、合計86.4%の人が質の良い睡眠を求めていることが伺えます。
<朝食で週に1度以上食べることが多い食材について> n=530
1位:パン
2位:ご飯
3位:ヨーグルト
4位:バナナ
5位:納豆
6位:トマト
6位:キャベツ
8位:レタス
9位:ゆで卵
10位:りんご
バナナには睡眠の質が向上する栄養素が豊富!
管理栄養士 渥美まゆ美さんに聞く、睡眠に焦点を当てたバナナの食べ方とは?
睡眠の質を改善するためには、トリプトファンだけを摂取すればよいわけではなく、トリプトファンを生成するたんぱく質の代謝に関わったり補酵素になったりするビタミンや炭水化物など、それぞれ代謝に関わる栄養素たちを朝食から摂取し、朝からきちんと体の代謝を回す必要があります。
そのため、5栄養素をバランスよく摂取できるバナナを朝に食べることで、夜までにセロトニンを生み出し、睡眠の質が向上すると考えられます。
新生活のスタートを迎え、生活のリズムの乱れや体調を崩しやすいこの季節にも強い味方です。
ここでは睡眠の質が向上するバナナのおすすめの組み合わせを紹介します。
睡眠の質が向上するバナナのおすすめの組み合わせ
①バナナ+ヨーグルト
睡眠の質を良くするのに欠かせないトリプトファンはバナナとヨーグルトに多く含まれます。
さらに1日に必要なエネルギーはバナナから、たんぱく質はヨーグルトから手軽に摂取することができます。
バナナは免疫機能を整える食物繊維、ビタミンB6や精神的な安定につながるマグネシウムやビタミンCも含むので朝に食べることで1日の体のリズムと質の良い睡眠につながりやすい栄養素を補うことができます。
②バナナ+コーンフレーク+豆乳(もしくは牛乳)
睡眠の質を良くするのに欠かせないトリプトファンはバナナ、豆乳(牛乳)に多く含まれます。エネルギー源はバナナから、たんぱく質は豆乳(牛乳)でサポート。
バナナと豆乳の組み合わせはトリプトファンやビタミンB6、マグネシウムがしっかりととれる組み合わせです。コーンフレークを加えることでエネルギーと共に代謝機能を整えるビタミンやミネラル、免疫機能を整える食物繊維をプラスすることができます。
渥美 まゆ美さん プロフィール:
保育園勤務、健保組合、大手料理教室の講師を経て2016年株式会Smilemeal設立。
食を通して人々の健康につながる料理の提案と企業の「売れる商品」を多数プロデュース。
主な著書 「野菜たっぷりレシピ」(池田書店)、『同時に3品作りおき 朝つめるだけ弁当188』(西東社) 他