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2020.11.20科学・Tech, 話題・おもしろ

感染予防にはオーラルケアを! キャンディに秘められた可能性

2020年 11月 16日(月)、オーラルウェルネス推進委員会の発足記念メディアセミナー『感染対策における、アロマ成分複合体 DOMACの可能性 〜キャンディを用いた最新研究結果発表〜』が開催されました。

オーラルウェルネス推進委員会は、「健康づくりは、“口からだ“ 」を掲げ、口腔ケアの重要性を啓発する為、専門家の知見や最新研究などを交えながら情報を広く発信していくことを目的に設立されました。

従来、口は「食べる」「話す」などの基本機能が注目されてきましたが、近年、口内を健康な状態に保つ「オーラルウェルネス」の研究が進み、「口は全身の健康の要」であるということが明らかになってきているそうです。

今回のセミナーでは、これからの寒さが本格化する中で、感染対策の新たな選択肢として「キャンディ」の有効性が着目されました。

 

石原 新菜先生

 

初めにゲスト講演で、イシハラクリニック副院長の石原 新菜先生から感染対策における口腔ケアの重要性をご紹介いただきました。

 

 

新しい生活様式で迎える感染症シーズンにおいては、「手洗い」「うがい」「バランスの良い食事」「体を温める」などの基本的な対策に加え、今年は「口腔ケア」が重要になってくるそうです。

口のケア=虫歯予防「だけ」とつい捉えがちですが、ウイルス対策にも効果的なのです。

口は感染対策における第一関門であり、ウイルスは口と鼻から侵入し、呼吸器感染を引き起こします。

対策のポイントは、「唾液と舌」です。

唾液には、ウイルスの体内侵入を阻止する免疫抗体 IgAが含まれています。唾液は 99%が水分でできており、1%に含まれている成分が、IgAです。

舌は健康のバロメーターとして、健康状態が現れやすい場所です。舌の上に現れる「舌苔(ぜったい)」は細菌や汚れの

塊で、細菌数の増加は感染リスクを高めるため、意識してケアをすることが必要になってきます。

新型コロナウイルスはその受容体が舌にも多いといわれていて、一部で「舌磨き」も推奨されているようです。

正しく口腔ケアをすることで、インフルエンザ罹患率も低下してくるそうです。

今年は特に口腔を意識して、きちんと対策をして、感染症シーズンを無事に乗り越えていきたいですね!

 

上田 貴之先生

 

次の講演では、東京歯科大学老年歯科補綴学講座教授の上田 貴之先生から、「唾液力を上げるキャンディの可能性」について発表がありました。

 

 

現代は、不規則な生活習慣やストレス過多などが原因で、ドライマウスが急増するなど、“唾液不足”の時代といわれているそうです。

特にこれからの季節は、乾燥シーズンに入り、唾液もより少なくなりがちです。

唾液分泌量が減少すると、「1. 口腔内免疫力が低下する」「2. 口腔内細菌が増加する」という 2つの課題が生じます。

唾液には、免疫物質の IgAが含まれており、細菌やウイルスの侵入を防いでくれます。

つまり、IgAの濃度を高めることは、感染の水際対策にも繋がるのです。

 

 

感染の水際対策には、「物理的なケア」と「科学的なケア(有効成分)」のダブルケアが重要です。

今回はキャンディを使って、その効果を検証しました。

5分間キャンディを舐めた直後の IgAを測定した結果、「安静時」と比較し、「一般的なキャンディ摂取」と「アロマ成分複合体(DOMAC)を含んだキャンディ摂取」のそれぞれの IgA濃度の平均変化率において、全ての郡で有意差を確認することができました。

このことから、キャンディは唾液力を高めることで、感染予防に繋がる可能性があることがわかりました。

 

DOMACの構成成分

 

 

“唾液不足”がもたらすもう一つの課題が「2. 口腔内細菌が増加する」です。

口腔内細菌が増加すると、「IgA」 などの免疫機構を消費します。

すると口腔内の IgAが枯渇し、結果として、上気道における感染リスクが高まるのです。

口腔内細菌を見逃しやすい場所に「舌苔」がありますが、舌苔が多いと、口腔内の微生物が多い状態です。

直近で行った研究では、アロマ成分複合体(DOMAC)配合タブレットを 7日間摂取することで、舌苔を減少させ、舌表面の微生物を減らすことが明らかになりました。

このことから、アロマ成分複合体(DOMAC)キャンディの摂取は、 物理的ケア+化学的ケアにより、唾液中 IgA分泌量を上げながら、舌苔を減少させることで、口腔内感染・上気道感染のリスク低減につながることが示唆されました。

今後、人混みなどの感染リスクが気になる場所でも、キャンディは手軽な対策として効果が期待できそうですね!

 

安部 茂先生

 

次の講演では、帝京大学医真菌センター客員教授の安部 茂先生から「感染対策における DOMACの可能性」について発表がありました。

 

 

感染の「水際」である上気道感染症の主な症状としては、風邪やインフルエンザなどがありますが、これらのウイルス感染には「セリンプロテアーゼ」というウイルス活性化酵素が関与しています。

セリンプロテアーゼによって、ウイルスが活性化し、感染しやすくなるのです。

そこで、これまで口臭減少や口腔炎症症状緩和などの研究結果が示されている、キャンディ成分・DOMACを用いて、セリンプロテアーゼへの効果を検討しました。

 

 

結果、アロマ成分複合体(DOMAC)入りのキャンディは「セリンプロテアーゼ」を代表する 2種の酵素を抑制することを明らかにしました。

このことから、インフルエンザウイルス活性化で働くセリンプロテアーゼや、コロナウイルス活性化で働く TMPRSS2も抑制すると考えられるそうです。

DOMACは、感染予防や舌苔減少だけでなく、ウイルス活性化を抑制する効果があることがわかり、今後の活用に期待ができそうです。

 

左 小原 道子先生 右 松川 泰治さん

 

最後にパネルディスカッションで、岐阜薬科大学地域医療薬学部特任教授でウエルシア HD株式会社地域連携推進担当部長の小原 道子先生と、UHA味覚糖株式会社執行役員でバイオ技術開発セクションリーダーの松川 泰治さんから、オーラルウェルネスの必要性や今後の取り組みについて、協賛社を代表して発表がありました。

 

小原道子先生

 

「私たち薬剤師も薬を作るところから在宅医療にシフトしています。服薬支援の際、口腔機能の低下を目の当たりにすることが多くなりました。薬局では口腔ケアといえば従来は歯ブラシや歯磨き粉といったグッズが多かったですが、これからは介護や食品と一緒に連携をしながら、摂食嚥下障害・食支援といった分野でも オーラルケアとして連携が必要になってくると感じます。そのことが地域を守る薬局・薬剤師の立場として健康へのスタートラインの第一歩となると考えています。」

 

松川泰治さん

 

「「おいしさは、やさしさ」が UHA味覚糖のコーポレートアイデンティティ。オーラルケアに関する研究は日々進歩している一方、メーカーとして商品をいち早く社会に還元していかなければならないと考えています。キャンディなら、どこでもいつでもおいしく、手軽にできるため革命に近い可能性を秘めていると思っています。今後、お菓子を食べたときに心が和むやさしさと身体の健康を実現したいです。」

 

今後のオーラルケアの分野の広がりに、期待が持てそうですね!

 

 

これからだんだん気温も下がり、乾燥しやすく、感染リスクも高まってくるこの季節。

口の中から感染対策を徹底し、感染症シーズンを乗り越えていきましょう!

 

(情報提供: オーラルウェルネス推進委員会 事務局、編集: R.T.)