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2023.02.25話題・おもしろ

[更新] AKB48の倉野尾成美が白血病を克服した少女を演じる感動作『いちばん逢いたいひと』

■編集部注

・公開記念舞台挨拶が 2月25日(土)に開催されました。(2月 25日)

・2月9日に完成披露舞台挨拶が開催されました。(2月 10日)

・倉野尾成美さん(AKB48 チーム4のキャプテン)の公式インタビューが解禁されました。(2月 4日)

 

倉野尾成美さん(AKB48 チーム4のキャプテン)映画初主演で、白血病を克服した少女と、そのドナーになった男の数奇な運命を、実話を元に描いた奇跡の感動作『いちばん逢いたいひと』の公開記念舞台挨拶が本日 2月 25日(土)に開催されました。

 

 

白血病を克服した少女・楓を演じた倉野尾さんの他、楓の祖父役の不破万作さん、白血病で娘を亡くしたことで、自らドナー登録する柳井役の崔哲浩さん、白血病になった娘・楓に寄り 添う母・佳澄役の高島礼子さん、監督・脚本・出演の丈さん、自身の娘が白血病になり、自身もドナーとして骨髄を提供した経験のあるプロデューサーの堀ともこさんが登壇しました。

 

倉野尾成美さん

 

倉野尾さん:
本当に多くの方に見ていただきたいと思っていたので、こうして全国で公開される日が来て、とても嬉しいなと思います。

 

堀ともこプロデューサー

 

堀プロデューサー:
広島の素晴らしい景色と丈さんの脚本の素晴らしい世界がマッチして、笹川家と崔さん演じる柳井の家族が対比となっていて素晴らしい作品に仕上がりました。
(白血病についての映画を作ろうと思った理由について)
娘が中学校1年の時に急性リンパ性白血病になって、骨髄バンクを介して、骨髄移植を受けることができました。
方や隣の無菌室でドナーを待っていた女の子はドナーが見つからなくて亡くなってしまった。
ご自分の娘さんが亡くなって悲しいにも関わらず、『良くなってよかったね』と言ってくださり、申し訳ないと思いました。どうして助かるのと助からないのと差があるのだろうとすごく考えました。
ドナー登録者が一人でも多くいてくだされば、その子のドナーになったかもしれない。
皆さんにそれを知っていただきたい、ドナー登録に少しでも興味を持ってもらいたいと思い、映画を作ろうと思いました。

 

倉野尾さん:
(楓の子供時代役の田中千空(ちひろ)について)
幼少期役なので撮影は一緒になることがなかったんですが、本読みで一緒になりました。
本読みの時間が私にとってはすごく大切な時間になりました。
堂々とした演技をしてくださったので、私がどうにか受け継いで頑張ろうとお手本にさせていただきました。
(『ONE PIECE』のルフィ役、『天空の城ラピュタ』のパズー役でおなじみの田中真弓が本作で役者として出演していることについて)
夢が叶ったじゃないですけれど、『ONE PIECE』が大好きで、ルフィのセリフにたくさん救われてきたので、存在しているだけでも神みたいな感じで、ずっとソワソワしていたんですが、この気持ちは置いて、『お芝居をしに来たんだ』という気持ちで臨みました。

(劇中でAKB48のヒット曲「恋するフォーチュンクッキー」の振り付けを披露していることについて)
(会ったばかりの同級生役の子たちの)緊張をほぐすために、『恋するフォーチュンクッキー』を使いました。

 

丈監督

 

丈監督:
『恋するフォーチュンクッキー』風の曲を作ってくれと作曲家に依頼したので、著作権には触れないです。(観客 笑)

 

高島礼子さん

 

高島さん:
撮影中の制作発表で、いきなり、お二人がご家族に白血病の方がいらっしゃったと聞きました。
明るく演じていらっしゃったんですよ。普通だったら暗くなるのに、二人がものすごく明るく演じていらっしゃるのはリアルなんだろうなと気づきました。
病人が一番辛いので、家族は盛り上げなくちゃいけないという想いを、不破さんや大森さんはされてきたんだな、経験を活かしたことなのかなと思いました。

 

崔哲浩さん

 

丈監督:
(自らドナー登録する柳井役を演じた崔哲浩について)
(母親役の)中村玉緒さんとの二人のシーンで、崔くんが感情をガーっと上げなくちゃいけないシーンだったので、崔くんは『僕は玉緒さんに会いませんから』って言っていたんです。
夕方に撮る予定のシーンだったんですが、朝から一人になっていたんです。
そうしたら玉緒さんが、『私の相手のあの子はどこ行ったんじゃ』となりまして、これこれこういう気持ちで一人になっていますと言ったら、『何言ってやがるんや』と言って、メイクルームを出て行きました。
10分後くらいに玉緒さんの鼻歌が聞こえてきたんです。
メイクルームのドアを開けたら、崔くんが確保されていました。
その時の崔くんの浮かない顔!
(中村玉緒さんは)カチンコが鳴ったらバンッと急に女優になるんです。

(本作の見どころについて)
感情のぶつかり合いというか、感情が噴き出すシーンがいくつかあります。
なるちゃん、崔くんもそうなんですけれど、役者の魂の叫びだと思ってご覧いただければと思います。

 

高島さん:
(介護について)
とにかく無理しない。甘えたっていいじゃん。
日本人って、自分一人で頑張ろうとする方が多いと思うんですが、介護にぶち当たった時に、甘えるっていうことを意識してほしいです。
私は5年くらい頑張りすぎて、体調を悪くして。『無理する必要はない』と先輩に言っていただいたら、心が楽になったというか、甘え上手になりました。
みんなで協力して、介護を頑張っていきましょう。

 

不破万作さん

 

不破さん:
私の姉なんですが、35年くらい前に白血病になりまして。
その頃はまだ骨髄バンクがなくて、姉が亡くなってから 3年くらい経ってからできたんです。
(当時)そういうものがあったらもしかしたらと思いますが、病気はなるものなので、しょうがないなとその時は諦めました。
(その経験を踏まえて)骨髄バンクは、すごく必要だと思います。
兄弟、親戚全員血液検査をしたんですが、合わなかったんです。
あとは抗がん剤しかないと言われて落ち込んだんですが、(骨髄バンクがあれば、)堀さんのお嬢さんみたいに助かることもあります。
骨髄バンクは 55歳までしか登録できないので、私はもうダメなんですけれど、(会場を見渡して、)みんなは若そうなんで、ぜひお願いします。

 

堀プロデューサー:
骨髄ドナーというのは、自分が健康だからできる移植なんです。
他の臓器移植は亡くなったからあげるんですが、骨髄だけは、自分が元気だからこそ人に分け与えられる移植なので、どなたでもドナーになれます。
私も娘が退院した 2年後くらいにドナー登録して、すぐに適合したとお手紙が来て、すぐドナーになりました。
全然怖くなかったですし、この映画を観てドナーになってもいいなと思ってくれる人がいたら、この映画は成功だと思っています。

 

倉野尾さん:
白血病について詳しく知ろうかなという一歩がこの作品で皆さんの心に生まれたらなと思います。
この作品は命がテーマで重たいのかなと思われるかもしれませんが、広島の景色が綺麗ですし、ふふっと笑えるシーンもあって重苦しくないので、そこは素直に笑って観ていただければと思います。

 

ーーーーー 以降、2月 10日公開分

 

2月9日に完成披露舞台挨拶が開催されました。

 

 

■完成披露舞台挨拶
日時: 2月 9日(木)13:05頃~15:35頃
登壇者: 倉野尾成美(AKB48)・三浦浩一・大森ヒロシ・崔哲浩・丈(監督・脚本・出演)
会場:ユーロライブ

 

 

丈監督:
プロデューサーの堀さんのお嬢様が実際に白血病の病にかかり、ドナーのお蔭で命を繋ぎました。
圧倒的にドナーの数が少ないんです。
堀さんは、ドナーをなんとか増やしたい、白血病について広めたいということで、映画化を考えていらっしゃいました。
一人のお母さんが映画を制作しようと思って、芸能プロダクションを立ち上げ、監督のマネージャーをやって、四半世紀この映画を作るために生きていたんです。
僕の演劇作品をご覧になって、セリフを気に入ってくださって、映画を撮るなら丈に頼もうと思ってくださっていたそうです。
最初の打ち合わせからストーリーがあっという間にできました。堀さんの情熱に動かされました。

 

(映画のスタイルについて)『白血病について広めたい』ということは押し付けたくなく、『映画としてハラハラドキドキして、ユーモアもあるエンターテイメントにしませんか?』と堀さんに尋ねたところ、『もちろんそれがいい』となりました。
医療ものだとしっとりした映像を思い浮かべると思いますが、ダイナミックな画作りにしました。

 

 

倉野尾成美さん:
(娘がドナーに骨髄を提供してもらっただけでなく、)堀さん自身もドナーになって骨髄を提供されているので、そのお礼のお手紙を見させていただきました。
(患者とドナーは)お手紙のやり取りしかできないので、貴重なお手紙です。
『(患者とドナーは)本当は会っちゃいけない』ということをこの作品を通して知りました。
私だったら会って感謝を伝えたいけど、手紙だけでしか伝えられないというのもドラマチックだと思いました。

そんなに映像の作品に携わることがなかったので、『本当に私?』という感覚で今日までいます。
メッセージ性がある大切な作品だなと思います。
できる限り頑張ったので、多くの人に見てもらえたらと思います。

 

丈監督:
(倉野尾のキャスティングについて)楓というのはまっさらな人がいいなと思ったんです。
女優さんはイメージがついていたりするので、透明感があって真っ白でイメージのないまっさらな人がいいと思って。
新人オーディションだと主役の看板を背負うというのは厳しいと思い、既に大きな看板を背負っていて、まっさらな人と言ったら、AKB48か坂道。
プロフィールをばーっと並べて、選抜ですよ。
これでCD出したら売れるんじゃないか。
楓のイメージで、『この子』と言ったのがなるちゃん。
直感が当たりました。なるちゃんでよかった。

 

 

崔哲浩さん:
最初読み合わせの時に、すごい人数だったので、(倉野尾の)顔が見れない位置だったんです。
音だけ聞いていて、声が凛としていて、読み合わせの時に驚きました。
綺麗な女優さんっていると思うんですけれど、地に足がついて、凛とされている稀有な女優さん。

 

倉野尾成美さん:
(クライマックスの撮影について)大事なシーンが私の撮影最終日だったので、全然気が抜けなくて辛かったです。
ずっと気張っている状態だったので、終わった後は力が抜けて、『終わった〜、終わった〜』とずっと言いながら帰りました。

 

丈監督:
(クライマックスの撮影について)僕が役者としてあのシーンをやるとしたら、カットを割られたら嫌だと思い、『セリフを噛もうが、間違えようが、すっ飛ばそうが、感情だけで最初から最後までやってくれ』と二人に言って、3回通したんです。
素晴らしかったです。

 

崔哲浩さん:
この映画のタイトルが、『いちばん逢いたいひと』。
この映画のテーマ・本質ってなんだろうと思って時間経過を丁寧に表現できたらと思いました。

 

 

三浦浩一さん:
(子供時代を演じた田中千空ちゃんについて)どこにでもいそうな子でも、お芝居になると、ドナーがなかなか見つからなくて、絶望してという心の表現をちゃんと演じていたし、屋上のシーンを見てボロボロ泣きました。
子供時代はあの子でよかったと思います。
ドナーが見つかって、新たにもらった命を演じた倉野尾さんの楓もキラキラしていて素晴らしかった。
『生きているって素晴らしいことなんだ』というのが、あなた(倉野尾)の存在そのもので(表現できていた)。
監督がよくぞ選んだと思います。

(母親役の高島礼子について)何十年も前から共演させていただいていて。
弁護士や刑事だったりキャリアウーマンの役が多いイメージで、普通のお母さんの役はあまりないんじゃないかな。
それはそれは見事に、いい味を出していました。

 

 

大森ヒロシさん:
カミさんが乳がんが浸潤して肺に入り、延命治療に入り、その治療過程で白血病になったレアなケースなんです。
うちのカミさんは亡くなってしまったんですが、オープンにしていなかったんです。
キャスティングされた時も、監督のプロデューサーは全く知らずにオファーをいただいたんです。
だから、お声がけいただいた時はびっくりしました。

 

丈監督:
(楓のおじいさん役を演じた)不破さんもお姉さんが白血病と知らないでキャスティングしていたんです。ご縁を感じますね。

 

大森ヒロシさん:
(闘病中のシーンについて)うちの場合も白血病だったので、無菌室でした。
会える人も限られていて、2〜3名家族のみで、他の方はインターフォン越しでガラスの向こうなんです。
1スパンが1ヶ月で、3日退院してまた1ヶ月というのを3回繰り返したんですが、その1ヶ月が長いので、辛いながらも笑顔になって欲しいなと思っていました。
帰ってきて嬉しいし、本人にも笑顔になってもらいたいし、というので、仮退院の食事のシーンは象徴的でした。
よく食事のシーンを作っていただいたと思いました。

 

倉野尾成美さん:
この映画を通して初めて知ったことも私自身ありましたし、まずは知ることが大事なのかなと思うので、より多くの人に観ていただければと思います。
この作品を観て思ったことを、これから大切にしていっていただければと思います。

 

ーーーーー 以降、2月 6日公開分

 

 

映画初主演を飾る倉野尾成美さん(AKB48 チーム4のキャプテン)の公式インタビューが解禁されました。

 

- 映画初主演が決まっていかがでしたか?

 

最初は、周りが有名な俳優さんばかりなので、「本当なのかな?」と疑っちゃうくらいでしたが、やってみたかったことの一つだったので、ワクワクしながら参加させていただきました。

 

- イン前に監督や堀プロデューサーからはどのような話がありましたか?

 

作り込まなくて自然体でいいとのことでした。堀プロデューサーの娘さんがドナーさんからもらったというお手紙を読ませてもらいました。

 

- 楓役をどのように演じましたか?

 

元々元気で明るい子だと思ったので、そういうシーンを大事にしたいと思ったし、たくさんの方に支えられて生きている子だと思うので、ありがたみを伝えながら演じられたらと思いました。

 

- クライマックスシーンは迫真の演技でしたが、どのように気持ちを作ったんですか?

 

撮影の最終日に撮影だったんです。そのシーンが大事だなとずっと思っていたので、緊張していて、最後の日まで気が抜けなかったです。

(撮影時にシーンの途中でカットをかけず、)長回しで撮ると聞いていたので、できる限り集中して撮影しました。(劇中の楓と同様)がむしゃらだった気がします。あんまり覚えていないくらいです。

 

- 子供時代役の田中千空ちゃんとは話す機会はありましたか?熱演を見ていかがでしたか?

 

読み合わせの時にご一緒になった位で、あまりお話しする機会はなかったんですけど、すごく明るくて元気な子でした。

本読みの時から子役の二人(田中千空ちゃんと隣のベッドの与志役の海津陽くん)はしっかりとされていてすごいなと思って、「私も頑張らなきゃ」と力をもらったし、本編を見て、演技がすごいと思いました。

 

 

- 瀬戸内ロケはいかがでしたか?

 

緊張してドキドキしていたけれど、瀬戸内の素敵な景色が私を癒してくれました。尾道の撮影だとか、すごく楽しかったです。

 

- 完成した作品を見た感想を教えてください。

 

広島国際映画祭で大きなスクリーンで観させていただきました。元々映画鑑賞が好きなので、自分がスクリーンの中にいるというのが嬉しかったですし、シーンを繋げると、ちゃんと映画になっていてよかったなと一安心しました。

 

- 本作はゆうばり国際ファンタスティック映画祭と広島国際映画祭で上映されましたが、観客の感想は耳に入りましたか?

 

ファンの方が結構来てくださって、「このシーンが良かったね」など言ってくださったので、安心しました。

 

- 本作の見どころはどこだと思いますか?

 

この映画が伝えたいことを楓ちゃんが全力で伝えるクライマックスシーンです。

でも、そこまでの流れも大事なので、見どころは全部です。

 

- 読者にメッセージをお願いします。

 

劇場で観ていただきたいです!その一言です!

メッセージ性があって、白血病やドナーなど言葉は知っていても知らないことをさらに詳しく知る機会になると思うので、この映画を通してぜひ知っていただきたいと思います。

 

ーーーーー 以降、1月 30日公開分

 

 

©TT Global

 

AKB48 チーム4のキャプテン 倉野尾成美さんが映画初主演で、白血病を克服した少女と、そのドナーになった男の数奇な運命を、実話を元に描いた奇跡の感動作『いちばん逢いたいひと』が 2月 17日(金)よりロケ地である広島県・福山駅前シネマモードにて先行公開し、2月 24日(金)よりシネ・リーブル池袋ほか全国順次公開します。

自身の娘が白血病になり、家族で乗り越え、自身もドナーとして骨髄を提供した経験を持つプロデューサーの堀ともこさんのインタビューが、2月 4日の世界対がんデーを前に、到着しました。

 

また、2月 9日(木)朝11:15より渋谷ユーロスペースにて、本作の舞台挨拶付きの完成披露上映会の開催も決定されました。
上映後舞台挨拶には、倉野尾成美さん、三浦浩一さん、大森ヒロシさん、崔哲さん浩、丈監督が登壇します。

 

完成披露上映会予約サイト: https://w.pia.jp/t/ichi-ai/

 

 

■プロデューサーの堀ともこさんのインタビュー

 

- 娘さんが白血病になったとのことですが、いつの話ですか?

2009年、娘が12歳の時です。

 

- 楓の11歳の部分は、ほぼ娘さんとそのご家族が経験したことなのでしょうか?

そうです。

 

- 楓の子供時代役の田中千空ちゃんは、堀さんの娘さんをモデルとしているかと思いますが、子供時代のシーンを見て、いかがでしたか?

リアルを追求してしまえば、闘病生活ってかなり厳しいんですけれど、うちの娘の現実とは全然違った意味で、私の理想のように、生き生きと演じてくださいました。

娘が無菌室に入っていた時に隣だった2つ年上の女の子は、ドナーが見つからなかったんです。

臍帯血移植をしたんですけれど、助からなくて、亡くなってしまいました。

それを監督にお話しして、子供時代のシーンを書いていただきました。実際は、同じ病気の患者さんが亡くなった時に、「自分も死んじゃうんじゃないか」と心配してしまうので、病院では、同じ病気だということも、ドナーが見つかったということも知らされないような環境でした。

 

©TT Global

 

- 高島礼子さんが演じたお母さんは、堀さんがモデルかと思いますが、現場で演技を見て、いかがでしたか?

自分の時は、あんなに頑張れなかったと思います。

ほぼ 1年間本当に辛かったんです。リアルに映画にしてしまったら、観る人が耐えられないので、ものすごく明るい笹川一家は、「ああいう母親になりたかった」という理想像です。

あの時に戻って、もっと余裕を持って見守ってあげたらよかったなと思います。

崔哲浩さんが演じる柳井との対比のために意図的に明るい家族にしていますが、実際は笑いなんてなかったんです。

娘が辛い思いをしていると自分も辛くなってしまいます。娘の気をそらせるような明るさが自分になかったなと思います。

 

©TT Global

 

- 骨髄バンクについてのブルーナのチラシをコピーしているシーンがありましたが、みなさん、ご自分たちでコピーして配っているんですか?

 

それはなかったですが、やればよかったと思いました。

あのシーンは、私がお願いして作っていただいたシーンです。

ドナーが見つからなかった時に、私たちに何ができるかって言ったら、実際にドナーを探せるわけではないので、ドナー登録を呼びかけることしかできないんです。

色んな方にドナー登録をしていただかないと、適合する型が見つかる確率が低いです。

うちの場合は、思ったより早く見つかったので、それはしなくて済んだんですけれど、もう少し遅かったらやっていたと思います。

この映画を作るきっかけは、全ての患者さんに生きるチャンスを与えてもらいたいという気持ちからです。

うちはたまたま助かったけれど、現在ドナー登録者は 50万人いるのに、適合する型が見つからない人の方が多いんです。

移植をしたからといって全員が助かるわけではないんですが、分母を増やすしかないんです。

亡くなった方達も周りにたくさんいて、なんでうちの子だけが助かったのかとずっと考えてきていて。

助かって嬉しいはずなのに、どこかでごめんなさいという後ろめたさがあるんです。

うちの娘はたまたま助かったけれど、そうじゃない人たちもチャンスを与えてもらいたいという気持ちです。

 

©TT Global

 

- 骨髄を移植してもらう際、ドナーのことはどれくらいわかるんですか?

どの辺の地域に住んでいるかと性別と何歳くらいかは教えてもらえました。

うちはクリスマスカードが届いただけです。

お互い2回まで手紙を書けることになっていますが、私たちの場合は、1回ずつでした。

家族全員で書きました。

 

- 堀さんは骨髄ドナーに登録しただけでなく、適合して骨髄を提供したこともあるとのことですが、適合してから手術までの過程は、本作で描かれている通りなのでしょうか?

娘が退院してすぐ登録しました。適合したのは、その3ヶ月後で、早くてびっくりしました。

夏に適合して、1月くらいに移植を考えていると言われました。

それまでの間、体調管理をしたり、お薬を飲んじゃいけないなど規制があります。

何回か検査を受けたり、説明を受けたりしていたら、患者さんの都合で手術が 12月に早まりました。

娘の場合も移植が決まってから、手術まで半年以上かかりました。けれど、例えばその方が当日風邪をひいていたら、手術がなくなってしまうんです。

別の日に延期はできなくて、また初めの抗がん剤治療に戻るので、命に関わるんです。

なので、私が提供するときもすごく気をつけましたし、祈るような気持ちでした。

本作で、高島礼子さん演じるお母さんが、「ドナーが見つかった」と、廊下を歩くシーンの演技は、自分の記憶と重なり、観る度に泣けてくるのですが、実際は、見つかったのはただの一歩でしかなく、心配が尽きなかったので、私はあそこまで素直に喜べなかったです。

 

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- 「一人の命を救えたことが、わしの唯一の誇り」というセリフがありますが、崔哲浩さんが演じた柳井役のそういう部分は、堀さんの実体験から描いているのでしょうか?

はい。私の場合は、娘が骨髄をいただいているので、自分が提供するというのは自然の成り行きでした。

私も「一人の命を救えたことが誇り」です。

 

- 倉野尾さん演じる大人になった楓がドナーに会いたいという気持ちは、娘さんのお気持ちなのでしょうか?フィクションですか?

それはこの映画を作る時にすごく悩んだ点なんです。

「会ってはいけない」というルールが前提にあるので、うちの娘は感謝の気持ちはあると思うんですけれど、実際に会って感謝を伝えたいという気持ちは多分ないと思いますし、私がドナーの立場として、骨髄を提供した相手に会うということも、私自身は全く考えてはいないんです。

監督が、どうしても会いたくなるシチュエーションにするために、柳井の人生をあそこまで複雑なものにする必要がありました。

全てを失った人であれば、「自分がかつて命をあげたその相手に会いたい」と、そこに救いを求めることはあると思います。

今、患者とドナー、お互いが会えるようにしてほしいという運動が実際に各地で起きています。

この映画は日本骨髄バンクのルールに則って製作していますが、命を助けていただいて元気になった方が、ご自分のドナーさんに一言でもいいから「ありがとう」を言いたい気持ちは当然ですし、とても共感できます。

 

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- キャストについてのエピソードは何かありますか?

キャスティングの時は私も監督も全然知らなかったんですけれど、本読みの時に初めて(主人公の父親役の)大森(ヒロシ)さんにお会いしたら、奥さんが(本読みの)2年前に白血病で亡くなったという話をされて、(おじいさん役の)不破(万作)さんのお姉さんは、骨髄バンクができる前にやはり白血病で亡くなったと話されていました。

不破さんは「今だったらな〜」とおっしゃっていました。運命的なものを感じました。

 

- 本作はゆうばり国際ファンタスティック映画祭と広島国際映画祭で上映されましたが、行かれたんですか?

はい。広島では、観終わった方々に、「ドナー登録はどこでできますか?」「どうやったらできますか?」と聞かれて、本作を作った目標が達成でき、ある意味この映画は成功だなと思いました。

 

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- 本作の見どころはどこだと思いますか?

闘病生活部分ではなく、楓が一人旅に出るところが見どころかなと思います。

小さい頃の気持ちを持ち続けて大きくなった楓が、どういう風に生きていくかという人生が詰まっているので、そこを観ていただきたいです。

「人に感謝の気持ちを伝えたい」というのは普遍的なテーマだと思います。

 

- 読者にメッセージをお願いします。

私は何回も観ているんですけれど、毎回泣くんです。見どころが毎回違ったりするんです。

ずっと息子を待ち続ける(中村)玉緒さん演じる親の気持ちもそうですし、切石山の上で、楓と柳井が命の大切さを伝えるところが見どころだと思います。

 

■予告編

 

■イントロダクション

 

白血病を克服した少女と、そのドナーになった男の数奇な運命を、
実話を元に描いた奇跡の感動作。

10年ほど前、自身の娘が白血病になり、家族で乗り越えた経験を持つプロデューサーの堀ともこが、競泳の池江璃花子選手が白血病を乗り越え、東京オリンピックに出場したのを機に、「白血病と骨髄移植」、「ドナー登録」について理解を深めて欲しいと、少女が白血病になった二つの家族の物語が交差するドラマチックなエンターテインメント映画を企画。
その想いに賛同した老若男女のキャストが集結した。白血病を乗り越え、初めて一人旅に出る大人になった楓役でAKB48のチーム4のキャプテンである倉野尾成美、白血病になった娘に寄り添う母・佳澄役で高島礼子、白血病で娘を亡くしたことで、自らドナー登録する柳井役に『北風アウトサイダー』で監督デビューも飾った崔哲浩、その田舎の母・祥子役で中村玉緒が出演。子供時代の楓役の田中千空、同室の白血病患者・与志役の海津陽など、子役の熱演も引き出したのは、脚本と康介役も担当し、本作が映画監督2本目となる丈。

型が適合するドナーが見つかった時の心の底からの感謝の気持ちと、手紙1通でしか繋がっていないドナーとの運命的で目に見えない絆を身をもって知るプロデューサーから生まれた、生きる意味を改めて問う物語が誕生した。

 

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■あらすじ

11歳の女の子・楓(田中千空)は、ある日突然授業中に倒れてしまい、「急性骨髄性白血病」と診断される。幼い楓にとって、抗がん剤治療や放射線治療は過酷でしかなかったが、隣のベッドで同じ病気と闘っている与志(海津陽)だけが唯一の心の支えだった。

同じ頃、IT企業を経営する柳井健吾(崔哲浩)は最愛の娘を白血病で亡くしてしまう。経営者の健吾は仕事を優先せざるを得なかったが、娘を失ったことで、幸せだと思っていた家庭は崩壊へと向かってしまう。

全てを失ってしまった健吾にとって、今や一通の手紙でのみ交流があった、見知らぬ女の子の骨髄ドナーになれたことだけが人生で唯一の誇れることだった。

かけがえのない人を失いながら、それでも懸命に生きていこうとする一人の男と大人になった一人の少女(倉野尾成美)。 異なる人生を歩みながら探し求めた、それぞれの「いちばん逢いたいひと」とは。。。

 

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■キャスト

倉野尾成美(AKB48)
三浦浩一  不破万作  田中真弓  大森ヒロシ  丈  崔哲浩
田中千空  海津陽  細川学  夏井世以子  町本絵里  近藤玲音
中村玉緒(特別出演)  高島礼子

 

原案・エグゼクティブプロデューサー:近藤牧人 プロデューサー:堀ともこ ラインプロデューサー:宇佐美博 とめぞう
撮影・編集:松岡寛 照明:本間光平 録音:koty 色川翔太 ヘアメイク:Ellie 吉田伊織 堀ちほ(高島礼子担当)
スタイリスト:澤村紀依 アシスタントプロデューサー:飛塚ちとせ 助監督:高野彩加 音楽:猿楽 山本雅也 山中勇哉
主題歌『青色の航海~君へ捧げる応援歌~』歌・作詞・作曲・編曲 山本雅也
協力: 広島県府中市  広島県府中市観光協会  広島県府中市教育委員会  国登録有形文化財恋しき
協賛:株式会社M.Y.トランスポート LARDINI JAPAN株式会社 株式会社ウェルホーム 株式会社スパーツ 建物本舗株式会社
後援:中国新聞備後本社 公益財団法人日本骨髄バンク  配給:渋谷プロダクション
製作:TT Global  2022/ビスタ/5.1ch/DCP/ 106min
監督・脚本 丈

 

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公式サイト:https://www.ichi-ai.com/
公式ツイッター:https://twitter.com/ichiban_aitai

 

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