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2023.04.19科学・Tech

がんと闘う貧しい子どもたちへ無償高度医療を届ける新病院開設プロジェクトが始動!

日本発祥の国際医療 NGOである特定非営利活動法人ジャパンハートは、2025年に開設する国際的な無償の小児医療センター「ジャパンハートアジア小児医療センター」の発表と、医療支援・小児がんへの理解促進を目的に、2023年 4月 18日(火)に記者説明会とシンポジウムを開催しました。

 

©ジャパンハート

 

まず初めに行われた第一部においては、ジャパンハートで理事長を務める吉岡春菜さんより、今回のプロジェクトについて「命の格差を無くすためにも、まずは早期診断ができる体制を整え、がん患者の治療を完結させるような活動にしていければと思います。そして、アジアを代表する小児医療拠点へと拡大していきたいと思っています」と、力強い言葉がありました。

続いて、今回新たに発表されたプロジェクトの発起人であり、これまで 25年以上途上国の医療現場に立ち続ける小児外科医の吉岡秀人さんからは、「日々発展していく世の中で、身の回りには取り残されていく人も数多くいます。開発途上国においても、治療が出来れば助かるのに、治療が行き届いていないがために亡くなっていく子どもたちも多くいます。医療に限らず、あらゆる場面で大人たちが道を作り、子どもたちがその道を切り開いていけるような活動ができればと思っています」と、このプロジェクトに懸ける強い想いを語りました。

 

©ジャパンハート

 

その後、ジャパンハートの活動に賛同したゲストとして、ミュージシャンの岸谷香さん、TWIGGY.主催/クリエイティブ・ディレクターの松浦美穂さん、そして、現役医師芸人しゅんしゅんクリニック Pさんが登場しました。
しゅんしゅんクリニック Pさんは、過去に訪れたジャパンハートこども医療センターについて「以前カンボジアに行った際、日本の病院とは全く異なる劣悪な環境に衝撃を受けました」と、カンボジアの医療現場の実情を語るとともに、「今回のプロジェクトを通じて、カンボジアをはじめ 1人でも多くのアジア諸国の子どもたちの命が救われることを願っています」と、新病院に対する期待に胸を膨らませていました。

 

©ジャパンハート

 

また、岸谷さんは自身の娘さんをボランティアとして途上国に行かせた経験を踏まえ、「娘が日本に帰ってきてから、現地の子どもとビデオ通話で会話している様子を見て、なんだか嬉しく思いました。さらにその子どもは、『病気が治ったら日本に行きたい!』という夢を持っており、ほんの小さなことでも子どもたちに夢を与えることができたんだなと感じました。医療従事者でなくても、私たちにできることのヒントがたくさんあると思っているので、色々な場面で(この活動に)賛同する意味があると思っています!」とコメント。

 

©ジャパンハート

 

さらには、松浦さんは自身の職業を踏まえてこれまでの活動を振り返りながら、「美容室には多様な人が来て、ボーダーはどこにあるのかをずっと考えてきました。思想や行動にボーダーはないと思うので、私にも美容師としての枠を超えてできることがあるのかもしれないと思い、今回活動に賛同することを決めました」と想いを語りました。

 

第一部の最後には、今回のプロジェクトに賛同したゲスト 3名(岸谷さん、松浦さん、しゅん Pさん)のコミュニケーションボード就任を記念して、理事長の吉岡春菜より名刺が渡され、今後もジャパンハートとともに 2025 年の開設に向けて活動していく表明を行いました。

 

©ジャパンハート

 

続いて行われた第二部のシンポジウムでは、国立国際医療研究センター病院で小児科診療科長・第一小児科医長・小児腫瘍内科医長を務められた、医師の七野浩之先生より、小児がんの治療の歴史と今後についての基調講演を実施。
七野先生は「世界ではまだまだ小児がんは亡くなるリスクの高い病気であり、診断もされずに亡くなってしまうケースが多くあります。ただ、本来は“治せる病気”なので、これから複数の医師が連携して、生存率向上を図っていく必要があると考えております」と、これまで行ってきた小児がんの生存率向上支援事業に関するお話を踏まえながら、日本と低中所得国との生存率格差(サバイバルギャップ)について語りました。

 

続いて、ジャパンハートこども医療センター小児科部長で小児血液腫瘍科の専門医である、嘉数真理子(かかずまりこ)医師による基調講演では、「カンボジアでは、推定患者数の約半数以上が診断されずに命を落としています。また、がんと診断されても治療をするお金がなく、あきらめて家に帰るしかない子どもたちもたくさんいます。そんな子どもたちをなんとかしてあげたいという家族の希望を叶えてあげるためにも、今回のプロジェクトは大きな意味があると思っております」と、カンボジアにおける小児がんの事情を伝えました。

 

©ジャパンハート

 

その後、「途上国への医療支援の意義と、日本にとっての価値」をテーマに、
①七野先生(国立国際医療研究センター病院・医師)
②岸谷さん(コミュニケーションボードメンバー)
③松浦さん(コミュニケーションボードメンバー)
④竹内幸史さん(元朝日新聞記者・現「国際開発ジャーナル」編集委員)
⑤吉岡秀人医師(ジャパンハート ファウンダー・最高顧問)
の 5名による、パネルディスカッションが行われました。
その中で、七野先生から、「小児がんの特効薬は、何といってもまずは我々が行動することだと思っています。命は平等だと思っていたが、お金が無ければ治療もできないという現実にショックを受けました。そういった課題を解消していくためにも、我々ができることから行動に移していくことが大切です」といった提案が
行われると、吉岡先生からは「経済の発展そのものが医療の制度を発展させていくことに繋がり、それこそが特効薬だと思っています」と、お二人ならではの視点で途上国の医療課題に向けた考えを述べました。

 

また、岸谷さんは東日本大震災後に行った被災地支援の経験から、「プリンセスプリンセスの再結成も、自分一人の行動だけでなく、より多くの人が集まればもっと大きなことができるのではないか、という想いから始まりました。世界中の子どもたちに対しても、自分の子どもに置き換えたときに、親なら誰しもが何かをしてあげたいと思うはずなので、人それぞれの方法でサポートしてあげることが大切です。私はそういったきっかけを日本中にばら撒いていければと思います」と一母親としての視点で医療支援について語りました。

 

松浦さんは、東日本大震災直後の 2011年 5月にスタッフとともに被災地を訪れた当時を思い出しながら、「その時はまだヘアカットをしてほしいという意欲さえもなかったタイミングでした。とあるおばあちゃんの肩をマッサージしたことから一人、また一人と触れ合いが始まり、ヘアカットへと繋がっていきました。そんな中、女の子の前髪を大胆に切りすぎてしまい、泣き出してしまったことがあったのですが、それをきっかけに震災後の辛さで涙を流せずにいた子どもの心が少しだけ解けていくのを感じ、美容師としてできることを一つずつやっていこうと思った瞬間でもありました」と、美容師という立場ならではの活動内容やその意義について語りました。

 

さらに、実際に世界各国の医療支援を目の当たりにしてきた国際ジャーナリストの竹内さんは、「日本はメディカルリテラシーが高いが、カンボジアは全くリテラシーがない中で、病院も大変な思いをしています。ハイテクな医療技術を知らない国はまだまだたくさんあるので、日本からの医療輸出についても考えていかなければならないですね」と、今後より開発途上国へ医療を届けていくための提案を展開しました。

 

最後に、吉岡秀人医師は「未来の子どもたちに将来を託すこと、それは今の自分たちの行動にかかっています」と改めて自身の考えを述べながら、シンポジウムを締めくくりました。

 

【実施概要】
■日時: 2023年 4月 18日(火)
■場所: JICA 地球ひろば 600ルーム(東京都新宿区市谷本村町 10-5)
■総合司会: 望月理恵さん(セント・フォース取締役/フリーアナウンサー)
■プログラム:
・11:00~12:00 <第一部> 新病院「アジア小児医療センター」プロジェクト記者説明会
登壇者: ジャパンハート ファウンダー・医師 吉岡秀人さん、理事長・医師 吉岡春菜さん
ゲスト: 岸谷香さん、松浦美穂さん、しゅんしゅんクリニック Pさん
・12:15~14:00 <第二部> シンポジウム
基調講演I: 国立国際医療研究センター病院 七野浩之(しちのひろゆき)医師
基調講演II: ジャパンハートこども医療センター 嘉数真理子(かかずまりこ)医師
パネルディスカッション:「途上国への医療支援の意義と、日本にとっての価値」
吉岡秀人医師、七野浩之医師、岸谷香さん、松浦美穂さん、国際ジャーナリスト 竹内幸史さん
・14:00 閉幕

 

【ジャパンハートとは】
2004年、創設者・吉岡秀人さんが自身の長年の海外医療の経験をもとに、医療支援活動のさらなる質の向上を目指して設立した「日本発祥の国際医療 NGO」。
東南アジアを中心とする国内外で、小児がん手術などの無償の高度医療含む治療を年間約 25,000件実施しています。

 

ジャパンハート公式サイト
https://www.japanheart.org/

 

■寄付募集について
「ジャパンハートアジア小児医療センター」プロジェクトでは、建設に向けてご寄付を受付中です。
こちらから寄せられた寄付は全額、新病院への費用にあてられます。

 

ジャパンハート新病院建設 アジア小児医療センター開設への挑戦(個人寄付)
https://congrant.com/project/japanheart/6152

 

(情報提供:特定非営利活動法人ジャパンハート 編集:中嶋杏樹)