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2023.10.07科学・Tech

10月9日は“熟睡の日” 「週に 1 回以上夢を見る人」が約4割

 

一般社団法人ウェルネス総合研究所では、来たる10月9日の“熟睡の日”の前に、夢に関する実態調査を公 開しました。今回の調査結果により、一定数の人が夢を見る機会があることが分かった一方で、記憶に残る夢を 見る傾向があるレム睡眠については、あまり重要視されていない ことがわかりました。

この数年で「眠りのメカニズ ム」が解明されることによって、レム睡眠の重要性に注目が集まっています。

レム睡眠を最前線で研究し ている、東京大学大学院理学系研究科教授の林悠先生にレム睡眠の存在意義を解説いただきました。

 

夢を見る頻度は“週に 1 回以上”が全体の約 4 割以上に「好きな人に会う」「なにかに追われる」など多種多様な夢を見ている

 

 

はじめに、どのくらいの頻度で夢を見るのか質問したところ、全体で4割以上の人が週に1回以上の夢を見てい ることが判明しました。

世代別に見てみても、全年代において、おおよそ週に1回以上夢を見ている人が約4割と 一定数いるようです。

 

 

次に最近見た夢の内容について聞いてみると、推しや憧れの人、なかなか会えない人に会 える夢や、バンジージャンプなどを体験する夢、「留年」「化け物に追われた」など追い込まれる夢など、ユニーク な回答が多く見られました。

私たちは、レム睡眠とノンレム睡眠の両方で夢を見ますが、レム睡眠中に見た夢は 鮮明で記憶に残りやすいと言われています。もしかするとレム睡眠時に見ている夢なのかもしれません。

 

【夢の内容】
・芸能人が出てきた
・亡くなった祖父が出てきたこと
・推しとキャッキャした。
・バンジージャンプにチャレンジする場面

・某有名クリニックのCMを作る夢
・なぜか百貨店でインコを飼う夢

・好きなタレントの夢
・息子の小学校の担任が家庭訪問に来て喧嘩をする

・大学で留年する夢
・妹が人魚にさらわれる
・好きなアイドルに会った
・地面が割れてマントルまで落ちていく

・化け物に追いかけられる夢
・大谷翔平選手と話す夢

 

夢を見やすい「レム睡眠」の重要性はあまり理解されていない!? 質の高い睡眠には、レム睡眠も欠かせない

 

 

一方、同じ調査の中で、「睡眠の質を高めるためにはレム睡眠よりも 深 睡眠を多 くとることが重要である」 と 64.7% と回答 しているこ とから も、半数以上の人が「レム睡眠よりも、深睡眠のほうが大事だと考えている」ということがわかりました。
実は“熟睡=質の高い睡眠”をとるためには深睡眠だけでなく、実 は睡眠の後半に現れるレム睡眠の時間を確保することも重要とされ ています。

脳のリフレッシュ効果など様々な研究が進むレム睡眠も十 分に確保し、レム睡眠とノンレム睡眠を十分に確保することが 、質の高い睡眠の条件です。こうしたことを理解することが、現代人の睡眠 改善には重要かもしれません。

 

レム睡眠研究者に聞く、謎多きレム睡眠の役割とは? 加齢によってレム睡眠とノンレム睡眠のバランスは変化する!

 

質の高い睡眠のためには、ノンレム睡眠だけでなく、レム睡眠の重要性にも目を向け、睡眠バランスの重要性 に目を向けていくことも重要です。

レム睡眠の重要性について、レム睡眠研究の第一人者で、東京大学大学院 理学系研究科教授の林悠先生に解説いただきました。

 

レム睡眠は“脳のリフレッシュ効果が期待できる重要な睡眠”

 

 

睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠に区分されます。ノンレム睡眠 はその深さでステージ分けをすることができます。

レム睡眠 は、その効果についての検証が難しく、謎が多い睡眠です 。

レム睡眠は記憶や感情の制御を担当しており、情報を統合した り、過去の経験とつなげたりするとともに、 “脳のリフレッシュ” をする働きをしているといわれています。

最近の研究ではレム 睡 眠 、ノンレム睡眠は相関関係にあることも推察されています。

レム睡眠を意識することが“熟睡=睡眠の質向上”につな がるかもしれません。

 

レム睡眠とノンレム睡眠のバランスは加齢によって変化する!

 

 

人のレム睡眠の割合は、新生児期に最も多く、幼少期に大幅に減少します。

さらに、思春期以降も加齢とともに少しずつ 減少します。認知症の有病率が年齢と共に上がっていくこと を合わせて考えると、レム睡眠は認知症を考える上で、重要な役割を担っている可能性があると言えるでしょう。

 

注目されるレム睡眠と認知症リスクの相関性

 

もともと、ノンレム睡眠時にアミロイドβなどが老廃物として排出される可能性からノンレム睡眠と認知症リ スクとの関連が注目されていました。

ところが最近はレム睡眠の方に、記憶の定着に寄与しているという エビデンスが報告されるようになり、レム睡眠の少なさと認知症発症率に相関性も報告されるようになっ たのです。※1

 

レム睡眠時に脳の血流量が上昇することも判明、夢の仕組みは解明中

 

また、レム睡眠中は、大脳皮質の毛細血管内の血流が大幅に上昇することも判明しました。

脳の毛細血 管の血流量が上昇することで、脳に必要な血液中の酸素や栄養を送り届け、不要となった二酸化炭素や 老廃物が回収され、脳がリフレッシュされている可能性が示唆されました。※2
今回のテーマは「夢」でしたが、なぜ夢を見るのか、どういう仕組みなのかほとんどわかっていません。

ただ、レム睡眠中の人を起こすと、およそ8割の人が「夢を見ていた」と話すことから、レム睡眠は夢を活発に 見る睡眠だと言えます。

またネガティブな内容が多いです。

今回の調査でも何かに追われる夢を見られて いましたが、もしかするとレム睡眠時での夢なのかもしれませんね。

レム睡眠は記憶の定着に関係するとい われており、夢には記憶とリンクするストーリーが多々ありますが、記憶に関わる脳の海馬の機能との相関も 明らかにされています。

全体像の解明には至っていませんが、現代科学は着実に夢に向かって突き進ん でいるようです。

 

※1 Pase et al., Sleep architecture and the risk of incident dementia in the community. Neurology 89(12):1244-1250 (2017)

※2 レム睡眠中におこる大脳毛細血管の血流の上昇と、A2a受容体の関与 2021年 Cerebral capillary blood flow upsurge during REM sleep is mediated by A2a receptors Cell Reports

 

林 悠 先生

東京大学 大学院理学系研究科生物科学専攻睡眠生理学研究室教授
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構客員教授博士(理学)

 

参考情報

睡眠の盲点!?睡眠にはぐっすり深く眠るレム睡眠だけじゃなく、レム睡眠との“睡眠バランス”が重要

 

 

睡眠は私たちの人生の3分の1を占めており、睡眠の質=健康の質 といえるほど重要なものです。

まだまだ 解明が進んでいる途中ですが、「ノンレム睡眠の中でも深い睡眠である深睡眠」と「レム睡眠」2つの睡眠は、どちらも重要な役割を担っており、ぐっすりと深く 眠るだけでは不十分です。

「ノンレム睡眠の中 でも深い睡眠である深睡眠」と「レム睡眠」の どちらもバランスよくとることが質の良い睡眠の条件ともいえます。
「睡眠バランス研究プロジェクト」では、皆さまの日中のパフォーマンスや健康の維持に役立てていただけるよう、2つの睡眠バランス の重要性を発信してまいります。

 

睡眠バランス研究プロジェクト: https://wellnesslab-report.jp/pj/sleep/

 

(情報提供: 一般社団法人ウェルネス総合研究所 「睡眠に関する意識と実態調査」 事務局