江戸時代には食料の保存方法が現代より発達していませんし、うま味調味料もありません。
その時々の旬の食材を新鮮な状態でいただくのが基本で、調味料も極シンプルなもの。
現在の技術を使って、「素材の持ち味を最優先する」、むしろ「素材の持っている味を 100%以上引き出すこと」を軸とした江戸料理が東京・西麻布に来月 7月11日にオープンします。
先日、一足お先に「江戸料理 一石三鳥」に伺ってきました。
- 料理人 鈴木さん
鈴木さんは、元々フレンチ料理に関わっていた珍しいキャリアの持ち主です。
コース料理は、1時間半から2時間程度で料理が提供されます。
メニュー例 「夏の大名コース」
❶ 先付「アメーラトマト冷やし鉢」
❷ 椀物「⽑蟹真薯」
❸ ⼋⼨「拾参の彩り」
❹ 造⾥「鮮⿂のお造り」
❺ 焼物「鮎炉端焼き」、「鴨味噌麹幽庵焼き」
❻ 凌ぎ「炭炙り〆鯖棒鮨」
❼ 揚物「雲丹⼤葉天麩羅」
❽ 鍋物「熊しゃぶしゃぶ」
❾ ⾷事「⾦⽬鯛と舞茸の⼟鍋ごはん」、⾚出汁、⾹物
➓ 〆 「⼿打ち蕎⻨」
⓫ ⽢味「⾃家製プリン」、「甜⽠」
※その⽇オススメの⾷材を使⽤するため、メニュー、使用している食材の産地は⽇によって変更となります。
今回は 「夏の大名コース」の一部を試食させていただきました。
柚子ロックは、見た目はお酒に見えますが、実はノンアルコールドリンク。
先付「アメーラトマト冷やし鉢」
じゅんさいの乗った蓮の葉に隠された下にはアメーラトマトやアオリイカがあって、じゅんさいを流し込んでいただきます。
甘いトマトが印象的でした。
椀物「⽑蟹真薯」
北海道産の毛蟹を使われた真薯の上には冬瓜などがトッピングされていました。
あっさりとした味でした。
造⾥「鮮⿂のお造り」
千葉県産の鰹と平目、愛知県産の平鯛は、お醤油ではなく、江戸時代はお醤油が高級品だったということで、煎り酒でいただきます。
煎り酒でお刺身をいただくのは初めての経験でしたが、こういう食べ方も知ることができて新鮮でした。
焼物「鴨味噌麹幽庵焼き」
岩手県産の合鴨は、店内の炉端で岩塩をかけながら焼いて、九条葱をトッピングしています。
柚子胡椒にぴったりマッチするおいしさでした。
季節に合わせて鹿や兎など他のジビエが登場するそうです。
凌ぎ「炭炙り〆鯖棒鮨」
〆鯖棒鮨はいくらがたっぷりトッピングされていて、横には蛇の目に切った箸休めのきゅうりが添えてありました。
⾷事「⾦⽬鯛と舞茸の⼟鍋ごはん」、⾚出汁、⾹物
炉端で焼き上げた天竜川の鮎と舞茸の土鍋ご飯と、赤出汁と、香の物は児玉のメロンと柚子大根。
残ったご飯はおにぎりにして、帰りに渡してくれます。
甘味 自家製水羊羹と、青梅シャーベットと甜瓜(夕張メロン)
水羊羹は、塩がかかっていてほんのりと塩味が感じられました。
江戸時代では、羊羹も高級なデザートだったそうです。
株式会社Human Qreate 代表取締役社長 CEO 米田 拓史さん
米田さんにインタビューしました。
- このお店のコンセプトは?
米田さん:
もし江戸時代にタイムスリップしたら、どんな料理を作りますか?というお題に対して、古き良き江戸時代と現代の料理を融合して、お客様に楽しんでいただければと思っています。
どうやったらお客さんに喜んでいただけるかをずっと考えていて、このお店を作るために、江戸料理に関する書物を 200冊購入して読みました。
日光江戸村を貸し切って、知り合いとスタッフを集めて動画も撮影しました。
乗馬クラブに通って、馬に乗る練習もしました。できることは全部やりました。
内装にもこだわっていて、床が石畳になっていたり、壁は土を使ったり、カウンターには和紙を使ったり、江戸時代当時にも存在した素材を使い、当時の雰囲気を再現できるよう心がけました。
江戸の四大料理は、天ぷら、そば、お寿司、鰻なのですが、江戸時代は独身の人が多かったそうで、安くてパッと食べられるこの4つの料理が好まれたそうです。
江戸時代のファーストフードです。
昼間の取材だったので、試飲はしませんでしたが、利き酒師やソムリエがたくさんいて、日本酒やワインのドリンクメニューが豊富に揃っています。
2年半前に6名で立ち上げて、現在、7店舗になりました。
今回は、新しい飲食のかたちとして、誰にもまねできないようなものを作りたいと、江戸料理をテーマにした店舗をオープンします。
- どんなお子さんだったのですか?
米田さん:
幼稚園時代は、将来はお蕎麦屋さんになる!と卒業式で言って、みんなの大爆笑をとった記憶があります(笑)
中学・高校時代はサッカー選手になりたいと思っていたのですが、あまり上手ではなかったので、陸上競技に転身して、短距離の 100メートルを走って 10秒58 という記録をとりました。
ただ、実業団に入って活躍できるレベルではなかったので、大学時代から飲食店で起業するという夢を意識し始めました。
- 目指している経営者像はありますか?
米田さん:
特に具体的に目指している経営者はいなくて、逆に小さい子供たちにあこがれて目指されるような経営者になりたいと思っています。
お金がなくても、行動力と情熱があれば何とかなるという姿を見せたいです。
もちろん、そこには適正な努力が必要ですが。
創業して間もないため、銀行からの借り入れだけではなく、クラウドファンディングで資金を 1億5千万円を調達しました。
この金額は、飲食部門では、トップだそうです。
クラウドファンディングは、資金調達という面もありますが、ファン集客や PRの要素もあります。
同世代の良いメンバーに恵まれています。
- どんなお客様に来ていただきたいですか?
米田さん:
年齢層でいうと 30代後半から 40代の方に来ていただきたいと思っています。
40代50代のご夫婦はデートのきっかけを失っているカップルが多いので、結婚記念日などの記念日に和服※を着て、気持ちもタイムスリップしてぜひ来てほしいと思っています。
(※和服でご来店いただければ、お会計から 10%引きというキャンペーンも実施します。)
日本の観光スポットとしても来ていただきたいと思いますので、インバウンドの人や関西の人たちにも来ていただきたいです。
■江戸料理 一石三鳥
住所/東京都港区西麻布 1-8-12 ARISTO 西麻布 1F
営業/
[火~木] 17:00〜23:00(ドリンク L.O. 22:00)
[金・土] 17:00〜翌3:00(ドリンク L.O. 2:00)
月休 TEL 03-6434-9495(ご予約)
■一石三鳥グループについて
「 一石三鳥グループ」は本店の焼⿃屋をはじめ、ワイン棚に扮した扉の中にある鮨屋、そして⼤阪では「誰がわざわ ざここに︖」と思われる辺鄙な⽴地で看板のない焼⾁屋を オープンし、連⽇満席に(スポット的に店舗の前にはタクシーの⾏列が︕という事態が発⽣中……)。
……と、ブライダル出⾝のオーナーのもと“思わず⾏きたくなる仕掛け作り”、“ブライダル仕込みのおもてなし”、そんな想いに共感した料理⼈やサービス業の最前線で⻑く実績を積んだスタッフが集結し、新しい飲⾷店のカタチをご提案します。
(素材提供:一石三鳥、編集・撮影: 森川 創)